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やれたかも委員会がおすすめの人
- 人の恋バナにあれこれ言いたい
- 男性に対する女性の微妙な駆け引きが好き
- シュールな笑いが好き
男性として生きていると、人生に1度や2度はある。それは「あの時こうしていればどうなっていたんだ!?」と思うワンチャン恋愛経験だ。
本作は、そんな微妙な経験エピソードを再考し、「(Hを)やれていた」と判定する内容。男性と女性とで考え方も違えば、答えも異なるところが面白い。
独特な間を使うシュール漫画で、ジャンルでいうと新しい形の恋愛ギャグ漫画を作り上げたと言える。
「やれたかも委員会」のストーリー
©やれたかも委員会 双葉社
連続したストーリーではなく、オムニバス形式によって主人公が変わる。女性との関係エピソードから「(Hを)やれたかも」と思う男性が、3人の男女にやれたかどうかを判定してもらう。
恋愛エピソードの回想が終わると、3人の男女によって「やれた」もしくは「やれたとは言えない」の判定結果が出る。恋愛エピソードと思わせつつ、シュールギャグが輝く作品。
男同士の恋バナだとすれば「やれた」と思う話ばかり
これは男女差もあるのだろうけど、作中でエピソードとなる話は、どれも男性目線だと「やれた」と思えることばかり。
普通、友達→恋人→セックスという段取りを踏むが、この手順を飛ばせるだけの条件が整っているように、男性目線だと思ってしまうエピソードの数々。
実際、漫画を読めば分かるが、私を含め男性に取っては期待値が高まるシーンが描かれている。女性にとってはどうなのかわからないが、かなり濃密な関係になってもおかしくない。
ただし、男性の妄想が先行しているところは否めない。私は男性なので、同じシチュエーションなら勘違いしてしまう男性心理が分かる。
女性には怒られるかもしれないが、エピソードに出てくる女性たちは「誘っている」と取られてもおかしくないのだ。
ちなみに、イケイケの男性が読んだら「なんで行動に移さないんだ」という話に聞こえるはず。行動しなかった男性たちの後悔記録でもあるのがまた良い(苦笑)
女性(月満子)の意見に謎の説得力
「やれたかも委員会」1巻読了。月満子さんの冷や水を浴びせるような冷静な女性視点の判定が心地良い。また、塾長のガバガバやれる判定と、やれたかもシチュを大切になさってくださいという気持ちのこもった言葉は、依頼者男性への「救い」だよなぁ…。みんな救いを求めてる空気を感じる。
— いのけん (@inoken0315) July 11, 2017
エピソードに対して判定が行われるが、男性の間では「やれた」で決まりそうなところを、バッサリ切り捨てる女性・月満子が面白い。
女性としての立場で物申すため、いくら男性からみてチャンスだったと思っても、厳しい意見で切ってくる。女性にはそこまでの気持ちはないと思いますよ的な。
確かに男女で考え方も異なるのだけど、こうも女性に言われると、男性としては謎の納得感で封じられてしまう。
ただ、視点を変えれば「やれた」で確定するよりはずっと男性が救われているのではないかとも思う。もし男女満場一致で「やれた」という結論に達すると、それこそ後悔の念に苛まれるのでは。
女性2名男性1名だったら女性意見がゴリ押しにも聞こえかねない。審査委員を男2女1という人数にした意味がここで活きている。
委員会メンバーの表情と独特の間がシュール
笑える点としてシュールギャグの要素が気に入っている。男性がエピソードを回想している際に、ターニングポイントが出てくる。
その際に、何か物を言いたげな表情でコマ割された委員会メンバーの顔が面白い。何か言いたいんだろうけど、話の骨を折るわけには・・といった無言のメッセージだ。
もし友人の恋バナとして聞いているなら、思わず「おお・・」と相づちを打ちたくなるような。黙っていられない時に、独特の間で描かれる彼らがシュール。
「やれた」「やれてない」という下品な話をしているのに、雰囲気は真面目な会を開いているため面白さの後押しに。
ネタ的にパターン化しがちな点は否めないが、意表を突く展開も用意されているため、私はこの作品を支持している。kindle アンリミテッドで見れるなど、お得なので要チェック。