出典:Amazon
スローステップがおすすめの人
- あだち充ファン(絶対条件)
- 一人二役のWヒロイン設定に興味あり
- 男たちがヒロインを取り合う話が好き
まずあだち充ファンになった人にしか勧められない漫画(笑)かなり癖のある作品で、漫画における定石を徹底的に無視していると思う。
言いにくいが、あだち充氏のファンでなければ面白さは伝わりにくいだろう。かくいう私も、そこまで評価できなかった。
ただし、「あだち充らしさ」は盛り込まれており、彼の描くキャラが好きだったり、展開を含めたコメディにハマっていたり。あだち充ワールドを堪能したい人は、最後まで読める。
「スローステップ」のストーリー
少女漫画だったからわかれてたんですね!なるほど!もう勢いのままスローステップ2巻まで読んだんですが少女漫画成分高めなのに面白いしめちゃくちゃ好きで困った困ったあだち充名作が多すぎる....
— しちさんそ (@sitisanso) August 11, 2020
高校2年生の主人公・中里美夏は、ソフトボール部のエース。ボクシング部に所属している、秋葉習や部活顧問の山桜監悟から好かれている。
そんな美夏だが、ひょんなことをきっかけに変装する必要があった。以後、その変装姿を「須藤麻里亜」として使い分けることに。
同じマンションに住む門松直人にも気に入られモテモテ状態になるなど、男3人が一人の女の子(美夏)を巡って取り合う青春ラブコメディ。
展開に芯が無さ過ぎて、どうなるのかわからない不安定さ
©スローステップ 小学館
正直、1巻を読んだ段階で「あだち充はどこに向かっているのだ?」という不安を抱いた(苦笑)すでにあだち充氏のファンだったので、他の作品に比べると安定感の無さに驚く。
ヒロインのソフトボール部での話を広げるのか。ボクシング部の男たちとの絡みを増やしていくのか。2巻になって、須藤麻里亜に変装するなど、展開的な危うさを常に感じた。
ただ、あだち充氏が連載中に設定をいじることは知っていたため、いずれ変わるだろうというか。不安定な流れすらも楽しみの一つとして読んだ。
展開に芯は無いのだけど、あだち充ワールドと言うべきか。彼の描く世界観として読むものだと思う。作中内における宣伝や、作者の愚痴などお約束は安定。
普通、この作品ほど内容にブレを感じると駄作認定まっしぐらなのだけど。面白くはないけど、だからと言って読むのをやめられないのは、私に取ってあだち充劇団のキャラが愛おしいからだ。
かなりハードなあだち充ファン向けであることは間違いない。
あだち充氏も適当に描いている事実(笑)
ちなみに、雑になっていることを作者は「あだち充本」にて以下のように語っている。
「タッチ」と違って何も考えてなかったし、ソフトボールの取材なんてするわけがない。途中からボクシングが始まるわ、まぁ、適当な漫画でしたね。何の縛りもプレッシャーもなく、解き放たれました。
「タッチ」の次の作品とは見られないと思っていたし、気ままに描かせてもらいました。
引用元:あだち充本
少女漫画のちゃおに連載していたこともあり、ほぼ読者を意識せずに描いていたとのこと。そりゃこのモチベーションで行くと、本作のような漫画も完成するよなと謎の納得感(笑)
でもラストに関しては、「まさかこの展開になるとは」という話が待っている。ラストは微妙とも言われがちだけど、散々ボロクソ言いつつ、私は好きなんだよなぁ。
あだち充氏もいくら適当とは言え、読者に何の衝撃も与えないまま幕を閉じるのは嫌だったんじゃないかと推測。