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テンテンくんがおすすめの人
- 何も才能がないと諦めている人
- 少年をサポートするドラえもん的な存在を探している
- ギャグネタや絵柄などが小学生向きでも読める大人
小学生向けのふざけたギャグ漫画であるにも関わらず、大人でもしっかり理解できているかわからない才能の話。それが本作である。
私は連載をリアルタイムで読んでいたが、この作品が伝えたかった才能の本質について理解していなかった。大人でも、才能がないからと物事を諦める習慣のついている人は多い。
そんな才能に関する話を、手っ取り早く伝えず、地道に描いている。子供ウケの良いギャグ漫画なので、学校の図書館に並べて置いたほうが良い。それくらいの出来栄え。
「花さか天使テンテンくん」のストーリー
©花さか天使テンテンくん 集英社
人には「サイダネ」と呼ばれる才能の種が存在する。このサイダネは、神様から人間に与えられる貴重なもの。しかし、神様がサイダネを配る最中にトラブルが起こる。
トラブルとは、サイダネの中に誤って梅干しの種が入るというもの。この梅干しの種を入れてしまったのは天使テンテン。
さらにこの梅干しをサイダネとして受け取った桜ヒデユキ。ヒデユキは「才能のないダメな子」として生活していたが、本当の才能探しのため、天使テンテンとサイダネを見つけるべく同居が始まる。
「人には何か才能がある」という大事にすべき価値観
いつからだろう、自分が凡人だと気付いたのは。小学生あたりまでは皆自分が天才か、何かの才能があると信じてたんじゃないかな。
確かに人はそれぞれ何かの才能を持っている。だけどそれに気づかず人生を終える人がほとんどだろう。そーゆー意味では花さか天使テンテンくんて素晴らしいキャラよね— 店主 (@segavandamme) May 25, 2019
才能という概念はとても難しい。「才能がないから」と諦めがちな人に、才能は努力しないと手に入らないと言っても伝わりにくいだろう。
実際、私も「才能がない」となにかにつけて言ってきた一人だ。人によっては、「人間なにかしら才能があるんだよ」と言われっぱなしで、ありがちな話ととらえスルーしていることも・・。
しかし本作による才能の概念や価値観には、「どんな才能も花を咲かせるには努力が必要」という考えが基本にある。この考え方を漫画で表現していることが、何より分かりやすい。
サイダネによって才能の芽が出ていても、才能にあぐらをかいて何も努力しなければ花は咲かないとか。才能の芽が小さくとも、努力で咲かすことができるとか。
漫画そのものはおふざけの多いギャグなんだけど、本質的なところでもっと評価されるべきだと私は思う。子供向けの作品なのに、大人にやたら染みるだろう。
「挑戦していないだけで、実は〇〇な才能があなたにもある」というメッセージ性が素晴らしいね。
テンテンくんは不真面目なドラえもん
テンテンと、ヒデユキの関係性も良い。テンテンは、ヒデユキの才能探しをサポートするために人間界に来たのに、やたら不真面目。これはドラえもん的な関係の逆バージョンと言える。
ギャグ漫画なので必然的に「不真面目」な設定が合うのだろうが、これに振り回される周りの人との関係が良い。
ドラえもんの愛され具合はもちろんながら、マイナー部門でいうとテンテンも同等に愛されていいと思う。
ヒデユキが困った時に、サイダネを使ってフォローする展開を見ているといいコンビ。テンテンのお騒がせっぷりが、色んな人や天使を巻き込むなど、温かい流れに癒やされた。
90年代後半の流行という時事ネタ
2020年の今になって読み返すと、当時の流行が作中に散りばめられていて懐かしく感じる。「キムタク」など当時大ブレイクの有名人を頻繁に出していたり、「ヤマンバギャル」が出てきたり。
連載中である90年代後半だからこそ通じる時事ネタも入れている。才能の話には関係ないので、今の子が見ると「?」となるかもしれない(笑)
古い時事ネタに違和感がない子には、本当に読ませてあげて欲しいなと思う。私は、今も本作を17巻揃えて持っているのだけど、親族の子供などに読ませてあげようと置いてある。
ギャグ漫画だけど人生の教科書にもなり得る名作。