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終わった漫画家がおすすめの人
- 漫画家とアシスタントの関係を描く作品が読みたい
- ネガティブな人の疑心暗鬼な感じが好き
- 非リア、陰キャな人々
結婚目的で女性アシスタントを雇う売れない漫画家。アシスタントとして漫画家を踏み台にし、デビューを目論む女子高生。漫画家と結婚して玉の輿を狙う女性。
もはや下心しかない人達の集まりなのだけど、ちゃんと漫画家をテーマにした作品作りがなされている。作者の非リア感が作内の至るところに生きており笑えた。
誰にでも勧められるタイプの漫画ではないが、福満氏の持っているネガティブさや嫉妬心。こういった、人間なら誰もが持つ心情表現が的確ゆえに、福満ファンなら楽しめる作品。独特のテンポが魅力。
「終わった漫画家」のストーリー
©終わった漫画家 講談社
凡人ながらも漫画家として活動している「終わった漫画家」が主人公。過去にも作品を描いてきたが、これと言ったヒット作は生まれず。ただ終わりゆく漫画人生に鬱屈した思いを抱いていた。
そんな漫画家人生の中で、「結婚したい」という願望を叶えるべく、女性アシスタントを婚活目的で採用することを決意。
しかしやってきたのは、玉の輿目当ての巨乳女性A子。そして漫画家アシスタントを踏み台にデビューしたい、女子高生B子だった。下心だらけの3人による漫画家ギャグコメディ。
終わった漫画家のネガティブさが良い
福満さん面白いなー。終わった漫画家を え、これ本当に?自分のことじゃないよね?こうだったら嫌だなーってこと?と思いながら楽しく読んでたけど、エッセイ風の漫画の性格や言葉の端々に終わった漫画家を感じてしまい…??エピソードもだけど、このセンスが好き
— うし (@black1smurf) June 17, 2020
終わった漫画家のネガティブさ。これがストレートに突き刺さるのは、私自身が同じようにネガティブな感情を常に抱きがちだからだ。
福満作品の支持層も、おそらくこういった卑屈な話に共感しているため、ツボに入った人には面白くてたまらない流れとなる。
漫画が売れないこと、出版社や編集者との関係性。何に置いてもネガティブで、ポジティブに捉えられない性格が結果的に笑いに繋がっているのが好きだ。
漫画家はA子に好意を抱いているが、変なことをしたらセクハラやパワハラで訴えられるのではと考えていたり。セリフの言い回しや、心の内に秘めたネガティブ表現は、売れない漫画家である福満氏自身の叫びでもあるように受け止めた(笑)
ただ、福満氏も数年前まではマイナー漫画家として活動していたが、実はそこそこ人気のある漫画家として認知されているのも事実。ファンなので売れてほしいけど、売れたら売れたで寂しくも思うw
打算的なA子とB子の両女性キャラが可愛い
「女性をかわいく描くのが上手い漫画家は?」と言われて、最初に福満しげゆき氏を持ってくる人も少ないだろう。おそらく、ファンでも1番とは思わないはず。
しかし、福満氏の描く女性は魅力的で、本作のA子とB子もたまらなく可愛い。まずA子はいかにもグラマーな女性。胸の大きい、ムチムチした身体が男性層には受ける。
私も実際、A子みたいな人がいたら好きになるだろうと思わされるほどの魅力を感じた。ビジュアル面だけではない。彼女らの内面にある打算的な思いもまた可愛い。
玉の輿に乗るべくおっぱい当てまくりのA子。漫画家として成り上がるために利用するB子の思惑などが、作中でバシバシ炸裂している。
こんなに打算的な人たちの中にいるのは嫌だと思う反面、実際の社会でもみんな口に出さないだけで思っているのは事実だ。
この可愛い二人が適度に作中で動いてくれるため、どういう展開に動いても、それなりの面白さが担保される。打算的な女の人はふつう可愛くないが、福満氏が描くとめちゃくちゃ可愛い。
ちなみに、女性の話として3巻の終わりに性生活まで暴露している。ファンとして奥さんに怒られたら今後は描かせてもらえなくなるのでは?と心配してしまった(苦笑)
福満氏自身が決して異性に恵まれた人生を送っていたわけではないので、彼の妄想する女性が本作にも出ている感じ。