出典:Amazon
しおんの王がおすすめの人
- サスペンス作品が好き
- ルール知らずでも読める将棋漫画が好き
- 女流をテーマにした将棋作品を探している
物語の冒頭から、女の子の両親が殺されているというショッキングな描写。「なにこれ怖い」となるため、将棋漫画を読むつもりの読者には違和感があるかもしれない。
ただ私のように「将棋のことは全然わっかりませーん」な人間にすると助かる。将棋ゴリゴリというプレッシャーを感じず、犯人は誰なのかという視点で楽しめる。
将棋棋士の話ではあるが「女流棋士」をテーマにしていることも良かった。将棋×サスペンスによる緊張感をご堪能あれ。
「しおんの王」のストーリー
しおんの王また読み直したけどやっぱ面白いわ?。10巻以内でおすすめのマンガ??とかには紹介されないんだけど好きだなあ。ちょっと強引な展開も含めてキャラがたってるからなのかな。キャッチコピーが物騒なのもいいね。「将棋で人が殺せますか?」
— 桃色係長ヘイ (@bappfle) September 4, 2019
主人公・安岡紫音(旧姓・石渡)の両親は、しおんが幼少期のころに何者かに殺害された。しおんは事件のショックから失声症となってしまう。
殺害された両親の遺体のそばには、将棋の王将が残されていたが、犯人の意図もわからぬまま迷宮入りに。事件後は棋士の安岡に引き取られ、棋士としての才能を伸ばす。
しおんが女流として戦う姿を描きながら、両親を殺した犯人に迫っていくサスペンス作品。
将棋界×サスペンスが絶妙にマッチング
こんなに将棋とサスペンスの相性がいいとは思わなかった。いや、原作者が上手いから面白かったと言うべきだが。
もともと、棋士は1つの勝ち星を巡ってピリピリしているため、緊張感を持たせる雰囲気は作りやすい。ここに、「殺人事件の犯人は誰なのか」というサスペンス要素を入れたことでより雰囲気が出る。
素人考えだと、将棋もサスペンスもやったら、どっちつかずな展開になってしまわないかと思うところだが・・。本作に置いては心配なかったと私は感じた。
何よりしおんの可愛らしさ。「この子に何か危険が及ぶのではないか」という親心が読者に生まれる。ショックによる失声症がありながら、将棋はたくましく頑張っているため応援してしまうのだ。
事件や犯人探しなる展開が好きな人なら、将棋を軽く見ても楽しめるはず。
将棋漫画としての対局シーンに不服なし
©しおんの王 講談社
しおんが可愛いく、萌え絵にも見えるため「ひょっとして萌えを売りにしないだろうな」と序盤で思っていたが杞憂にすぎなかった。
対局における女流棋士たちの気迫は伝わっており、心理描写もしっかりと描かれてある。かっこ可愛い的な。
やはり棋士ありきの将棋漫画。サスペンスも混ざった作品とはいえ、見せ場である対局がしょぼければどうしようもなくなってしまう。
ライバルは男女どちらも出てくるが、将棋漫画として不服のない仕上がり。これは、しおんの「可愛らしさと強さの間のギャップ」が、とても大きいことを意味しているとも言える。
「女装して女流棋士」という設定はやや微妙
母の入院費を稼ぐため、女流枠で勝負をしている斉藤歩という棋士が登場する。この女流棋士の設定がややこしいもので、実は男なのに女装で女流をやっているのだ。
普通バレるであろう話なのだけど、母親の入院費を稼ぐために、勝ちやすい女流枠を選んだという流れ。
色々と本作に疑問を呈する感想を見たが、私の中での違和感はダントツこれだ。お金の面で苦労しているとは言え、将棋界を騙してるし、騙される側もおかしいし・・(苦笑)
漫画ならではの、ご都合主義といえばそれまでだが。ただ歩も良い役回りをしていて、騙し小僧で終わるわけではない。全体的に荒削りではあるが、作品としては十分な及第点を取れている。