マイナー競技

「ラフ」想定外のラスト。あだちマジック炸裂の表現力に崩れ落ちた

ラフ

出典:Amazon

総合評価 B (ふつうに面白い)

ラフがおすすめの人

  • 水泳がテーマの作品を読みたい
  • サブキャラのドラマが好きな人
  • 洗練されたラストが待つ作品を読みたい

あだち充作品としてはメジャーではないにも関わらず「最高傑作」と評している人も多い本作。何がそこまで凄いのかというと、ラストの描写にある。

恋愛ベースの作品なので、主人公とヒロインがどのような結末を迎えるかは、物語の冒頭から気になるところだが。あらゆる想像を張り巡らせても、本作のラストは想定外。

ちなみに私はあだち充ファンだが、本作を最高傑作だとは思っていない。ただ、ラストだけはどう読んでもあだち充マジックが炸裂した名作。鳥肌モノの表現力に崩れる落ちる人だらけになると断言する

「ラフ」のストーリー

©ラフ 小学館

主人公・大和圭介とヒロイン・二ノ宮亜美。二人の実家は共に和菓子屋を営んでおり、祖父の代からライバル同士。圭介・亜美の関係においても、お互いに嫌い合ってスタートする。

お互いに関わることが増え、様々な誤解が解けて行くことで惹かれ合う二人。亜美が兄のように慕う日本記録保持者・仲西弘樹の登場で、圭介を含めた三角関係にも発展。

サブキャラにも見せ場を与えており、水泳競技を舞台にした青春ラブコメ。

恋路の行方なんてだいたい想像できちゃうと思っていた

何を語るにも、ラストを語らないと始まらないのが本作。最初から大和と、二ノ宮の二人がくっつくというのは見え見え。

犬猿の仲だろうと、それが恋愛作品の場合はカップリングするまでのスパイス。いきなり好き合っている二人がくっついても意外性がないのだから。そしてあだち充作品。くっつかないはずがない。

だけどこのラストは・・。いや、二人の恋路に花が咲くのは想像してたけど、こんな意外なまとめ方があるのかと。絶妙とも言える間をしっかり使い、この時代だからこその小道具を用意したあだちマジック。

最大の魅力は、このキャラたちを俯瞰して見ている読者だけがラストに気づくラブロマンス。大和よりも二ノ宮よりも、誰よりも読者が驚かされちゃうんですわ。

ネタばれOKの人だけ、解説してあるので読んでみるといい。

+ネタばれ解説

大和は最大のライバルである仲西と勝負に挑む。そんな大和に試合前、カセットテープへ吹き込んだ告白メッセージを渡す二ノ宮。勝ち負けの結果で選んだと思われないための告白手段。

しかし、カセットテープの不具合により上手く作動せず、内容を聞くことができないままレースに挑む大和。

本来ならメッセージを聞いた大和と、聞いてもらえたと思っている二ノ宮がいるはずなのに。読者だけは、両思いとなり結ばれた二人を知ることができるハッピーエンド。秀逸のひと言。

水泳漫画としても面白い

水泳をテーマにしているが、あだち充氏の得意分野・野球でなくても問題ない。コンマ1秒のしのぎを削る世界における難しさは表現できていると思うし、だからと言って水泳に関心がない人にも読ませる内容

スランプに陥る大和が成長する過程もしっかり描いており私は面白いと思えた。ちゃんと中ボス的な存在・芹沢を配置するなどバランスの良さも伺える。

高校を舞台に描かせたら、正直なところ文化部でも感動的に仕上げられるのではないかと思わされるほど。ストーリーが練られていれば、どんなテーマだろうと作者にしてみれば、御茶の子さいさいなのかな。

ただ、私の中ではこの評価(B)になる。男子寮と女子寮のコテコテなコメディ部分が多かったことが気になったので。もう少しコメディを端折って、水泳を強調しても良かったようにも思う。

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