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ぢごぷりがおすすめの人
- 育児の大変さを知りたい男性
- 妻が出産を控えている男性
- 現在育児で疲弊している女性
初めて読んだ時は衝撃だった。ジャケットから見る雰囲気からは想像もつかないストーリー。「これは本当に育児を描いた漫画?」と何度も思わされる切迫感。
泣き止まない赤子や、母乳を与えることへの繰り返し作業。先の見えないトンネルといった、育児における苦しい局面の描き方にはホラー性すら帯びている。というか、日常を描くと見せかけたホラーと認定するw
「育児は大変!」なんて使い古された言葉は、これを見るととても言えなくなりそうだ。出産を控えた奥さんのいる男性には、妻サポートの心づもりとしておすすめ。
「ぢごぷり」のストーリー
©ぢごぷり 講談社
10代のシングルマザー・沖浦あゆみと、双子の妹・かなめによる子育て漫画。作者の経験をベースにしているが、子供が生まれてきた幸せではなく、育児の苦悩を強調している。
作画は可愛い双子女子なので、絵面的には可愛いが・・。育児ノイローゼなどにかかっていく過程の描き方はまるでホラー。
タイトルのぢごぷりは、「地獄から来たプリンセス」の略。赤ちゃんは本来可愛く描かれがちだが、本作では何か得体のしれない生き物のように描いているのも特徴的。
たった数ヶ月と思えないエンドレス育児
私に子供はいないが「過去にもみんなやってきたから大丈夫」と言われても、そう簡単に納得できない程度には育児の大変さを理解できる。子育て経験がなくとも、どういった苦悩があるかは話で聞くので。
この漫画の良いところは、本当に最初の最初は希望に満ち溢れたスタートを切るところだ。完璧主義な18歳の母親が、100%母乳と張り切るところなど、子供のために頑張ろうと意気込む。
しかし、そう現実は甘くなく。夜泣きはもちろん、授乳や排泄処理を定期的にこなすことにあっという間に疲弊していくリアルを描いていく。
傍から見ると、たった数ヶ月の出来事なのだけど、毎日眠たい状態というエンドレスな空間のシビアさの描き方が上手い。
あんなに可愛かったあゆみが、あっという間に変わっていってしまうのだ。育児ノイローゼの実態として、作品としての誇張は感じつつも、先の見えない地獄感が描かれており怖い。
「子供が可愛いと思えない」と感じている育児中の女性にもおすすめ
壮絶な新生児の育児漫画「ぢごぷり」ママさんの中であまり話題にならないのはなんでなんだろう。完母でちまちま寝(大変)の赤子を育てる女の子の話だけど、心の葛藤がかなりあるあるだったな?。私も産後しばらくは全く可愛いと思えなかったわ… pic.twitter.com/TChQsdSuQ1
— ねこじたうどん????? (@nekojitanX) April 18, 2016
作中、子供を可愛いと思えなくなっている母親・あゆみの姿も出てくる。可愛いと思えないことの表現として、赤ちゃんも可愛くなく描くわけだけど・・。
でもこれだけ苦境に立たされ、サポートを受けられない中で育てていれば「可愛く思えない」と感じてもおかしくない。
出産、育児の良さはある程度の時間が経った時に「良かった」と振り返る話であって。渦中で苦しんでいる人には、返ってムチを打つことにもなりかねない。
その点、本作なら「この作者も育児で苦しんだのね」という目で読めるため、育児中の両親の気持ちは楽になるはず。
人間は同じ境遇に置かれている人を見ると、孤独感を埋めることができる。そういった意味で、今現在で育児をされている女性にもおすすめできる話。
男性向けの漫画雑誌で描かれているが、大事なのは何を訴えかけているかだ。この感想は触りの部分だけなので、興味がある方はぜひ手にとってみるべし。ホラー育児なるジャンルを開拓した作者に拍手。