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監禁嬢がおすすめの人
- 薄気味悪いホラー風のサスペンス好き
- 読者には予想しづらい展開が欲しい
- エロ描写を適度に求める
かなり薄気味悪い。サイコ・サスペンス作品だが、ホラー要素も含んでいる。どうなるのか、この先の展開が気になると思っても、予想が難しい流れになる。
9巻で完結するが、正直なところ最後までわからなかったストーリーに感服。ただし、胸糞悪く感じる部分や、読後の後味が良い漫画とも言い難い。
好みは分かれるが私に取っては面白かった。
監禁嬢のストーリー
ストーリー自体は至ってシンプルだ。主人公の高校教師・岩野裕行が、目覚めると全裸で監禁状態にされていた。監禁した人物は、「カコ」と名乗る知らない女。
このカコから、「私が誰なのか。岩野さんが思い出すまで許さない」という追求を受けることになる。岩野はカコの正体を追うべく、記憶をたどり元カノや関わりのあった女性を調べ始める。
岩野自身はすでに結婚しており、子供も生まれたばかり。謎の女に振り回されるも、もとの生活を取り戻すべく行動を取っていく。
謎の女「カコ」が巻き起こす薄気味悪さ
©監禁嬢 双葉社
突然現れた「カコ」が怖いのなんの。岩野自身はもちろん、読者にも「身に覚えのない人物が迫ってきた」という感覚が伝わってくる。いきなり知らない女に「私を覚えていないの?」と言われるとそれは怖いだろう。
また、ホラーチックな描写にも見える部分が多く、特にカコの黒目が大きすぎて、不気味な印象が序盤から植え付けられる。言うなれば、読者も読み始めた時点でカコに追われるのだ。
読者として読むだけなのに、「岩野は一体何をしでかしたんだ?」とカコ目線で追求してしまう私がいたり。ただのサスペンスにしては、雰囲気的な圧も強く見どころは多い。
展開の予想は困難になっている
最近読みはじめた漫画『監禁嬢』。
何の予備知識もなく読んだので絵のタッチや描写、ストーリーに戸惑いましたが、読み進めていくうちにいつの間にかハマッてしまい、次の展開が気になってしょうがない。やはり新たな刺激との出逢いって大事ですね。イロイロ考えさせられました。うむ。 pic.twitter.com/xZNl99IXFE— ナリオ(本人) (@narionario) December 11, 2018
謎解き漫画でもなければ、推理系のサスペンスといった「ヒント」の提示がなかなか無い。岩野が行動することで、元カノを思い出したり、会いに行ったりするため、読者にはノーヒントだらけ。
逆に言うと、これが予想困難な展開を生んでいるので、ありがちなストーリーが「読めてしまう」人には向いているかと。
挑戦状ではないけれど、最終巻までにラストを予想できる人がいるならチャレンジしてみて欲しい。
ちなみに、伏線はあるにはあるけど、衝突的に起こる展開を楽しむ漫画なので、あまり伏線作品としての期待はしない方が良いといえる。
エロ描写で表現する主人公の女性関係
エロ描写が適度に出てくるのも本作の特徴だ。画力が高いので、見ているとドキッとさせられることもある。登場する女性キャラも可愛いので、男性読者にはサービスかも。
ただ、このエロ描写もただのサービスではない。表現しているのは、「カコ」という女を探す中で、岩野がどう女性に向き合ってきたかという点。
肉体関係にまで発展しているからこそ、男と女の中で起こるトラブルもあることが示唆されている。監禁され、日常を破壊されるほどのことをしでかした相手は誰か?
そこに関係を持った女性との回想シーンに、エロ描写を入れているところが完成度の高さを伺わせた。エロを入れて男性読者の人気取りをしようという手法ではない。
一方的にカコに責め立てられる本作ではあるが、岩野も過去に女性に対して酷いことをしていたりする。そういった岩野側の落ち度もあることが、作品への良いスパイスとなっていく。
ラストに賛否は分かれるも、サスペンス好きなら一読の価値あり
ラストについては賛否が分かれる。実際、私も読んでいて「思っていたラストではない」と正直なところ思ったのだ。ラストだけを見れば、がっかりした人もいるだろう。
ただし、作品としては正解と言うべきか。予測できる展開で終わり、みんなが納得するような流れになるよりは、監禁嬢が持つ「薄気味悪さ」や「得体のしれない謎」を使いこなせたのではないかと思う。
これらが本作の面白さであり魅力だと解釈した。