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「ダイの大冒険」がおすすめの人
- 仲間、親子、恋人など人間同士のドラマが好き
- キャラの地道な成長マンガが好き
- 名言が多くしびれる演出が好き
ダイの大冒険は、ドラクエ漫画の枠を超えたヒューマンドラマ作だ。「ドラクエに興味がないから」とか、「バトル物は避けている」といった理由で読まないのは勿体ない。
ドラクエがベースとなっている作品であるがために、「ドラクエ漫画」という先入観が生まれてしまうことは否定しない。ただし、ドラクエを除いても熱い展開が繰り広げられることは保証する。
ドラクエベースだがオリジナリティが強く、まったくドラクエを知らない人でも十分に楽しめる。ドラクエを知っているのに未読の方は、悩む暇があるなら読むべき。
ダイの大冒険の面白さ
紹介に当たり、どういう点が面白いのかをまとめてみた。名作過ぎてストーリーは知られていることも考慮して、面白さにフォーカスしていく。
人間同士のドラマが熱い
©ダイの大冒険 集英社
まず人間同士のドラマがとても熱い。ヒューマンドラマとタイトルで紹介しているのはまさにこの部分。要所で見られる、キャラ同士のぶつかりはまさにドラマ。
特に人気キャラとして語られているポップの生き様には魅了された。弱腰で頼りなく、時には逃げて難を逃れようとするんだけど、そこに生身の人間らしさがある。
逃げるヘタレキャラかと思っていたら、ここ一番では大仕事をやってのけたりと、もはや本作を語る上では欠かせない存在。
ポップだけではない。ダイとバランの親子関係。ポップとマアムの恋愛関係。クロコダイルやヒュンケルの男としての仁義。少年漫画なんだけど、そこには深い人間味が常に描かれる。
ハドラーも魔王なりの信念やプライドがあり見どころは多かった。サブキャラたちも輝かせるのが実に上手い。ただ戦うだけの、バトル一辺倒にならない展開は、このドラマ性があるからとも言える。
キャラの地道な成長が見ていて楽しい
なんて言うか最高のキャラ。
ダイやほかの仲間はそれなりの生立ちなんかあるけど武器屋の息子からのスタート。ダイの大冒険はポップの成長譚でもあると思う。 pic.twitter.com/5RrxzPjVEh— やまちゃんは勇者である (@yamatyan0518) February 19, 2020
バトル漫画である以上は、ストーリーが流れるごとに強くなっていく。ただ、バトル漫画の功罪でキャラが成長し過ぎると「インフレ」と一蹴されてしまうことがある。
この「成長」という部分を、本作では絶妙なバランスで描いている。成長というのは、本来いきなり爆発的に強くなるものではない。
一時的に爆発させて強くするというストーリーはありだが、繰り返せば「インフレ」の罠が待っている。しかしダイたちは、成長には地道な努力と時間をかけている。
強くなるまでの苦悩がしっかり描かれており、インフレを一切起こさずラストまで進むのも素晴らしい。
面白いのは、敵味方関係なく、強くなること・成長の難しさを感じていることだ。上記で述べたポップも成長するが、ヘタレである部分をこれでもかというくらい見せられるので、見違えていく彼の姿はいつまでも記憶に残るだろう。
名言が多く痺れる演出が楽しさを倍増させる
ネットを見ていると「あ、これはダイの大冒険から来てるな(笑)」という書き込みを見ることは多い。
「今のはメラゾーマではない。メラだ・・・」とか。有名なので、未読の方でも目にしたことがある方もいるのではないだろうか。
まあ、そりゃネタにされるよねというレベルで、読者に取ってはインパクトの塊のような名台詞。まだ読んでいない方もいるので、ネタバレOKな方はググるべし。
個人的には、「おしゃべりな小僧だがひとつだけいい事をいった。上には上がいる」が大好き。読んでいる人にはわかると思うが、とある場面で出てくるめちゃくちゃ痺れるシーン。
これら名台詞と演出によって、ただのドラクエ作品でなくなった。ドラクエをベースに始めているが、長期連載されたのは圧倒的に作品力が強かったからと言える。
ジャンプ黄金期を代表する作品のひとつであることには間違いない。
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