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「描かないマンガ家」口だけ達者な主人公に共感できる痛快ギャグ

描かないマンガ家

出典:Amazon

総合評価 A (めちゃくちゃ面白い)

描かないマンガ家がおすすめの人

  • 漫画家に憧れている人
  • 意識の高いキャラが好き
  • 口だけで何もしないタイプの人

あれこれ言い訳を口にし、何かやっているようでやっていない。そんな経験は誰にでもあるのでは無いだろうか。

本作の主人公がまさに口だけの人物で、漫画家を目指すも言い訳だらけでとにかく描かない。土俵が漫画家か他のことかの違いなだけで、私は主人公に共感させられた。

そして見事なまでのギャグ。このギャグが痛快で、笑わせに来ているのだけど、口だけの人にはグサリと刺さるネタが満載。一気読みしたけど、謎の中毒性があるのでぜひ。

「描かないマンガ家」のストーリー

©描かないマンガ家 白泉社

主人公・渡部勇大(P.N 器根田刃)は、漫画家になるべく専門学校に通う27歳。「少年ダンプ」での連載を目標にするも、一切マンガを描いたことがない。自分を天才だと思っている。

自身のマンガ論を語ることに力を入れており、何かにつけて周りのクラスメイトといった仲間に上から目線で物を言う。

しかし当の本人は描いていないので、知らない間に周りの仲間は作品掲載。デビューといった道を切り開く。「漫画家志望なのに制作しない」という矛盾を武器にギャグ展開されていく。

一切描かないのに謎の説得力に笑う

これは面白いと最初に思ったのは、無駄に器根田がアドバイスをすることだった。漫画に向き合っているようで制作しないのだから、根拠もなければ説得力もないのだけど・・。

しかし器根田には、唯一の武器と言っていいほどの「自信」が存在する。漫画に対して落ち込んでいる人がいればフォローする言葉を投げかけ勇気を与えているのだ。

器根田がどうなっていくかは伏せるが、読んでいる段階では漫画家としての力は未知数だ。ゆえに謎の説得力が生まれ、シュールなギャグ模様に笑わせられる。

リアル漫画誌でいうと少年ジャンプを指しているであろう「少年ダンプ」に絞って狙っているところも良い。何も生産していないのに、名言だけは生産するその自信が羨ましい(笑)

漫画家志望の仲間たちの熱量が素晴らしい

器根田の周りも良いキャラが揃っている。描かない漫画家の真逆で、とにかく作品に向き合いボツにボツを重ねてデビューを目指す。

持ち込みしたり、アシスタントを経験したり。売れっ子漫画家との関わりだったり。漫画家ってこういう過程を経てデビューするんだなという、純粋な漫画ファンに向けての教養にもなり楽しい

器根田だけが漫画を真面目にやらないだけなので、逆に頑張っているシリアスな部分には感動すら感じる。漫画頑張ろうぜ!という仲間たちの刺激をし合う姿。素晴らしいね。

私は中学1年の頃、少し4コマ投稿したことがあるくらいで目指すこともなかったけれど。情熱を持ち漫画にぶつかることができる人たちに対する羨ましさを感じた。

今、何かを目指しているつもりの人にはいい刺激

何かを目指している人は、本作を読むことで刺激になるだろう。私もあれこれ口だけの人間なので、実は器根田に起こっていることが自分ごとのように思えていた。

口にするだけなら簡単だけど、行動することはその10倍100倍と大変である。この事実を、真っ向から突きつけてくる作品だった。

この作品は漫画家を目指す話だが、仕事でもダイエットでも。みんな何かしら本当は目指している物がありつつ、いつの間にかおざなりになっている物へのエールにもなる。

笑いたい、感動したいというニーズはもちろん、刺激が欲しい人への自己啓発にもなる名作

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