出典:Amazon
アイアムアヒーローがおすすめの人
- ゾンビ映画やバイオハザード(ゲーム)が好きな人
- 生死をかけたサバイバル作品が好きな人
- 読者が考えさせられる設定の作品を探している
ゾンビモノが好きな人にはたまらならないであろう作品。終始ゾンビに襲われることや、作者の絵が上手いことにより臨場感もハンパない。ゲームでいうところのバイオハザード好きな人向け。
ウイルス感染が世界に広がるパンデミックのゾンビ版と言えばいいだろうか。この極限状態を生きる人間たちが、とても繊細に描かれている。
設定は謎も深まり難しいんだけどね・・。読後にあれこれ話せる内容で、世界観的にエヴァンゲリオンに通ずる物もある気がした。ちょっと難しすぎて、私は理解できないところもあったのでこの評価だが(汗)
「アイアムアヒーロー」のストーリー
©アイアムアヒーロー 小学館
主人公の漫画家・鈴木英雄(35)は、出版社に相手をされず冴えない日常を過ごしていた。そんなある日、全国で「噛みつき事件」が多発するようになった。
噛まれた人は「ZQN」と呼ばれ、ゾンビに変わりさらに人を襲うようになる。そして英雄の恋人もまた、ZQNになってしまう。
ゾンビが蔓延していく世界における人々が、生き残っていくためサバイバル生活に入っていく。ジャンルは、SFホラーサスペンス。
極限状態に置かれた人間たちの臨場感がすごい
アイアムアヒーローの良い所は主人公の英雄くんが全然ヒーローじゃなくて、もったりしてるし、すごい後ろ向きな事言い出すし、全然冴えないんだけど、極限状態に置かれた一般人が見せる開き直りの一瞬がすごい光ってたりするんだよね。でも全然かっこよくないとこがとてもいい
— バニコフ (@banikov3) February 17, 2016
とにかく繊細に描かれる極限状態。この臨場感がすごいので、あたかも読者もゾンビパンデミックの世界に住んでいるかのように感じることがある。
作者である花沢氏の画力が上手いのも後押ししているが、人物にゾンビ、背景といった細かな部分まで美しい。不気味さもきっちり描き、世界観を上手く作り上げた。
英雄がクレー射撃を趣味にしているため、銃を持っているのだけど銃を使った戦いも良い。「早く撃たないとこちらがやられる」という、ゲームで言うところのバイオ感がある。
リアリティも重ね合わせるなら、ナイフや格闘といった近距離戦は現実味が薄れる。ましてや頼りない英雄なので、銃がいかに相性のいい戦法かを作者は考えたのだろう。
また「生き残っている人たち」という設定があるため、そこには男女の関係なんかも入れられてて。極限状態だからこそ、こういう男女模様があるんだよなという説得力も生まれていた。
英雄ストーリー以外も多いのが難点
まったく英雄が出てこないシーンが意外とある。英雄という頼りないおっさんの立ち回りが面白くなるところで、ぶつっと途切れるというか。
ストーリー上、他で生き残っている人たちのことも描かないと、成り立たないのは分かるのだけど。「え?この巻はこれで終わり?」みたいな流れは、ちょっときつかった。
原作にアニメが追いついてしまい、アニメオリジナル編に入ったような。他の漫画においても、似たような展開があるので本作に限ったことでは無いが。
伏線の回収も含めて、しっかりとラストまで読んだ上で「あれ・・よく意味がわからないぞ」という流れもあったので、ここは減点ポイント。
英雄と女性2人の行動編が個人的に好きだったのもある。クルスや海外など、ちょっと中だるみに感じちゃったかな。
読後に考察できる余地のある作品好きな人向け
読み終えてから、あれこれ考察したい人向き。意味がわからない部分もあって、私は考察&解説サイトも目を通した。
実際、私のように意味がわからなかったという人も多くいたので、やはり賛否両論はあるのだろう。どこかエヴァ的と冒頭で書いたが、読者に委ねた部分もあった。
名作と感じ評価している人もいるので、自己処理できる人向けというか。初心者に勧めるにはハードルがあり玄人向けとも言える。
ゾンビが好き、サバイバルが好きといった世界観を楽しみたい人におすすめ。