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サユリがおすすめの人
- ありきたりなホラー漫画に飽きている
- 不幸なままで終わらないドラマ要素が欲しい
- 前半後半でまるで違う展開を期待
ホラー作品では何らかの不幸が起こり、その原因を発見して「ギャー」と叫んで終わるところがある。人間たちが理不尽な思いをしていて、基本的にはやられ損。
しかし本作では、作者自身が従来のホラー展開に異議を唱え、「人間からの仕返しがあってもいいのでは」という考えに行き着く。※完全版のあとがきに作者の声として掲載された意訳
ありきたりなホラー漫画に飽きている方は、ぜひ本作がおすすめだ。ちなみに、通常版2冊と完全版1冊がある。完全版は、ほんの少しだけ加筆ページがあるという違い。
「サユリ」のストーリー
サユリ/押切蓮介、すげー。ホラーマンガ。電車の中で鳥肌がおさまらない。ミスミソウもそうだったけど、押切先生の本気は半端ない。「気持ち悪い」じゃなくて「怖い」と思わせられる。早く帰って犬に癒されよう、で、もう一回読もう…
— ぴょン様 (@nogu_pyon) September 24, 2010
とある7人家族は郊外の住宅を購入し引っ越してきた。今まで住んでいたアパートよりも広く、ここから幸せな生活が始まる・・はずだった。
引っ越してきた矢先に父が急死。以降も家族に不幸が続く。一家に何が起こったのか?解決に向けて祖母が動き出す。
序盤はガチホラー、後半は幽霊との戦い+αの流れで構成された作品。ジャンルでいうとサスペンスホラーだ。
前半、後半でまるで展開が異なるホラー作品
©サユリ 幻冬舎コミックス
本作は、物語の前半で不幸の限りを描いている。主には次々に家族が死んでいくという流れなのだけど、ここはホラー漫画特有の流れ。とにかく不幸がないと話にならないので。
人の死や、怪奇現象などを含めて、この漫画の怖さを徹底して叩き込んでくる。何がトラブルのもとになるのかもわからず、ただただ序盤は怖さに震えながら読むしかない。
押切作品の絵もホラーにマッチしているので、買ったばかりの家の不気味さが際立っている。私も、住み始めた家でこんなことになったら気持ち悪いなという感覚を抱いた。
そして後半である。これは予想がつきにくい展開になるので、ネタバレしないためにも語らないが。心霊現象に対して向き合うことになるのだけど、ここからが面白い。
ただ幽霊に向き合うといった話だけに留まらず、家族とは生き方とはみたいな。生き様の話が出てきたり。かなり描写もインパクトがあるので、嬉しい戸惑いを実感した。
「通常版」か「完全版」のどちらで買うか問題
私が購入したのは完全版だ。というのも、完全版で出版する際に加筆ページがあると知っていたからだ。ただ、絶対に完全版で読まないとダメかと言うとそうでもない。
作中の、とあるシーン6p+あとがき1pという内容。そこまで加筆ページが重要でもないため、ここはお好みで選ぶといいだろう。
そもそも通常版で話はしっかり終わっているので、完全版の販促用という感じだ。ちなみに、通常版だけが電子書籍に対応していて、完全版の電子書籍がないのは謎である。