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H2がおすすめの人
- 10代ならではの青春ラブストーリーが好き
- 複雑に絡み合う恋心を描いた物語が読みたい
- 恋愛漫画だけど生々しさが描かれていても問題ない
ネタバレを前提に書くので、未読の方は読まないで欲しい。H2は間違えようのない名作であるため、レビューを見てから読むかを決めることが、そもそも愚かな行為と言える。
本作は、主人公・国見比呂。ライバルの橘英雄。Wヒロインの雨宮ひかり、古賀春華の4人の恋物語。舞台は高校野球とあだち充氏のホームグラウンド。
ただ野球をやるだけではない、恋愛するだけではない。「え?ラストにこんな気持になる漫画ってないよね」と思わせるための、伏線が至るところに張り巡らされた作品だ。
ということで、ネタバレが怖い人はここまで。読まれないのは悲しいけど(笑)
H2の面白さは、4人の複雑に絡み合った恋心。あなたは誰に共感を示す?
©H2 小学館
野球漫画として読んでも相当面白いのに、野球が「おまけ」に霞むほどラブストーリーを描いている本作。あだち充作品の特徴でもあるが、それでも本作の生々しい恋愛模様は秀逸。
この作品のラストに関しては、結果的にあだち充氏のお得意の読者への「問いかけ」だ。国見、橘、雨宮、古賀。この4人の気持ちを最後に読者へ投げかけるからこそ名作とも言える。
すごく複雑化しているだけあって、誰の心情に共感や理解を示せるかといったテーマも入っていると思うのだ。
バッドエンドではないが、ハッピーエンドとも言えない生々しさ
最後は比呂と古賀がくっつく形になる。私は圧倒的に古賀ちゃん派なので、古賀ちゃんの好きな比呂とまとまって良かったと思うのだけど。
作中の流れから行くと、二人が残ったもの同士という形とも取れる。少年漫画らしからぬ、主人公(比呂)の気持ちはひかりも、古賀もどちらも好きなのだ。その気持ちにウソはない。浮気でもない。
ただ、親友でありライバルの英雄の存在が邪魔をしている。もちろん、妥協しての古賀ではないのはわかるのだけど。
好きになったひかりとは上手くいきそうでいかなくて。古賀とは上手くいきそうで。そんな流れから、彼らなりのハッピーエンドに向かった過程が生々しい。
私としては、漫画特有のはっきりしたラストを描かないこと。ここが非常に面白いと感じた。モヤモヤするのに、人の恋物語って割り切れないんだよねというリアリティを垣間見たからだろう。あだち充マジックに脱帽の一言。
古賀ちゃんが可愛い件
H2が
古賀春香が可愛いくて
たまらん…
ぜひ読んでほしい! pic.twitter.com/HT3cl2GmrN— もとぅ@光の戦士になりたくて… (@s2cxa) September 4, 2019
思わせぶりなひかりとは対象的に、ストレートな表現でアプローチしている古賀ちゃんがとても好きだった。比呂を支え、甲子園を目指す夢を背負ったヒロイン。正統派好きにはたまらない(笑)
中学からの付き合いがある比呂ら3人と比べて、高校から繋がっているという、どうしようもない距離関係に凹んだり。
でも作中で比呂も言ったように、古賀春香がいなければ、千川高校の野球部が強くなることはなかった。この古賀を好きだった男子は多い。だけど彼女は比呂が好きというのは周知の事実。
比べてはいけないが、ひかりはどうしてもブレていて、比呂と英雄の二人を混乱させていた側面もある(笑)そういった意味で、純粋に比呂を想い、信じる彼女の可愛らしさが良い。
読み終えていても、また読み返したくなる
それにしても、ラブストーリーのラストを把握しているにも関わらず、何度でも読みたくなるのは本作の魅力。
仮にネタバレしていたとしても、「そこに至るまでの過程が重要なんだ」というメッセージも作中では訴えかけられているからだろう。
今回は書いていないが、野田や木根の存在で、より4人の恋物語を上手く演出しているから素晴らしい。メインは4人だが、サブキャラがいてこそ成り立つ作品だった。