出典:Amazon
罪の声がおすすめの人
- グリコ森永事件に関心がある
- 実在事件を元にした作品が好き
- 短期のミステリー・サスペンス作が読みたい
日本犯罪史に残る未解決事件「グリコ森永事件」の真相を、フィクションとして描いた作品。原作は小説で出版されており、本屋大賞3位、週刊文春ミステリーベスト10で1位を獲得。
「事件がなぜ起こったのか」という物語の背景を描いており、3巻と短編でまとまっているため読みやすい。長編にならないので、時間のない人も楽しめるはず。
ただし、登場人物も多く、少し分かりにくい部分もある。万人には勧めないが、サスペンス好きな方であれば手にとってみる価値あり。
「罪の声 昭和最大の未解決事件」ストーリー
©罪の声 講談社
京都市内で紳士服のテーラーを営む曽根俊哉。ある日、父の遺品からカセットテープと黒革の手帳を見つける。そこには「とある記録」が記されていた。
この記録は、俊哉の伯父・達雄の物で、31年前に起こったギンガ萬堂事件への関与を伺わせていた。
また事件に使われた音声がカセットテープに入っており、俊哉自身の声と気づいたことから、真相解明に動き出す。
「衝撃の展開」ではなく、人間ドラマを重視したフィクション
「罪の声」って漫画1巻だけ試し読みしておもしろそうだなって思ったやつじゃん・・・・・・・・・・!!?!?!??!
— ハルコフ?? (@fffffi_) April 17, 2019
あの事件にはこんな裏側があった!といった「衝撃展開」で惹きつけていないところは、リアリティを感じさせ面白い。主には事件が起こった背景にある人間ドラマを描いており、フィクションだがノンフィクションにも見える仕上がり。
私もグリコ森永事件が起こった当時はまだ幼かったが、後々テレビで知ることになり重大事件であることには関心を持っていた。繰り返し未解決事件の特番でも紹介されるしね(苦笑)
「あの事件、実はこうだったんじゃないか」という憶測を含め考えることがある人には十分に楽しめるだろう。
ただ、衝撃がないのでやや淡白なストーリーに感じるのも事実。主人公・俊哉が幼少期ながらに関わってしまった不安感は理解できるが、全体を通すとそこまで重く受け止める必要があったのかと感じる部分も無きにしもあらず。
もう少し詳しく描いてほしい描写もあった
小説原作なので、漫画にすると難しい部分や、端折らないといけない部分はあったのかもしれない。原作を読んでいないので何とも言えないが、理解しづらい展開があったのも事実。
ネタバレしないように書いているため出来事は伏せるが、「なぜ〇〇が起こってしまったのか?」といった疑問が残るシーンがあった。
もちろん、ストーリーとして予想してみると、パーツは埋まるし、何となく繋げないこともないのだけど。そこは原作を読めと言われたらおしまいだが、もう少し詳しく描写がほしかったなと思ったり。
原作があり、結末も分かっている作品なので、決められた枠で完結させない事情があったのかもしれない。それ以外は、面白く仕上げており、絵も事件と相性のいい不気味さが出ており悪くなかった。