犯罪・裏社会

善悪の屑から「外道の歌」変更の理由は有害図書指定

外道の歌

出典:Amazon

総合評価 B (ふつうに面白い)

善悪の屑がおすすめの人

  • 許せない悪人を懲らしめるスッキリ作が見たい
  • 淡々とした復讐劇を求めている
  • 残虐表現に対するアレルギーがない

第一部「善悪の屑」が有害図書に指定された影響で、Amazonから消えてしまった問題作。第二部「外道の歌」とタイトルを変更して再出発した

ただ読者側から言わせてもらうと、タイトルと共に内容も大きく変わったとは思えない。確かに過激な描写があったとは思うが、その基準が今ひとつ分かりにくい。そのため、実質的な同一作品と捉えていい。

ちなみに、善悪の屑を紙の本で入手しようと思うと品薄だ。読みたいのであれば、電子書籍での購入を推奨。当ブログでは「外道の歌」として紹介させていただく。

「善悪の屑、外道の歌」のストーリー

©外道の歌 少年画報社

主人公・カモと、相棒・トラによる復讐代行がテーマ。犯罪被害に遭うも、加害者が法で裁けないという理不尽な思いを背負う依頼主に変わって復讐を行う。

ダークヒーロー物であり仕置人という位置づけとも取れる。復讐の描写は過激で、有害図書に指定されるほど。(具体的には善悪の屑4巻における内容を指摘された)

「善悪の屑」は5巻で終了させ、その後は「外道の歌」とタイトル名を変更している。

何が怖いって淡々とした拷問復讐を行うから

復讐代行や残虐行為で追い込む作品はこれまでもあったが、違いとしては復讐が淡々と行われることだ。

主人公のカモはそもそも無表情で笑わない。感情が出ないので、復讐シーンにおける「お前にやられた被害者の気持ちを考えろ!」みたいな説教もない。

ただ依頼された内容を作業的にやるだけなので怖い。人間としての思いや、反省させたい感情を取り入れないことがこんなに怖いとは。

加害者もこうなっては、何を言っても聞く耳を持ってもらえない恐怖心にやられてしまう。ちなみに、加害者は酷いことをしているので、残虐なことをされても同情はできない。

ただただ、淡々とした残虐な復讐を見せつけられる怖さがここにある。

心理描写としては単調な側面も

憎しみからの復讐なので、依頼者は「さっさと加害者を処罰すること」を望んでいるケースがほとんど。

心理としては理解できつつも、ただこれだけ残虐なやり口で復讐するのだから、もっと心理描写は細かく描いても良いようにも思う。

被害者の気持ちに寄り添い復讐していくことはスッキリを生むが、まあまあアッサリとした復讐もあるため疑問に思ったり。ちょっと雑にやりすぎと言うか。

とはいえ、心理描写よりも残虐な復讐シーンが見せ場なので、あまり気持ちがどうこう描いても仕方がないのかもしれない。

「本当に復讐していいのか」を強く問い始めたら、それはそれで漫画の趣旨も変わってしまうからね。

元ネタとなる実在事件も扱っている

実在する凶悪事件も出しているところは評価したい。死刑にならず軽い罪で終わるなど「あの事件、有耶無耶だよな」という社会的なモヤモヤが残る事件もあるが、本作では正義の鉄槌として復讐を下している。

私も全ての事件に意見するわけではないが、どうしても許せないと思っている事件がいくつかある。

実際、日本は死刑に持っていくだけでもハードルが高い。被害者遺族の悲痛な叫びは、メディアでも散々訴えられているが、変わりそうもない。こういった現状に、本作はNOを突きつけているのではないか

もちろん、「漫画でやり返したからもういいよね」という話ではないが。私刑を煽ると有害図書指定されたので、描きにくいところもあるだろうがまだまだ期待したい。

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