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ザ・ファブルがおすすめの人
- 最強や無敵系ヒーローを求める人
- ショートコントが好き
- 雰囲気で圧倒されるアクション漫画を読みたい
「伝説の殺し屋」なんて、作者には失礼ながらこれまで散々出てきたネタ。いかにも漫画らしいストーリー。
しかし、本作はそんな「いかにも漫画だな」と言われるストーリーを、南勝久氏の画力と笑いのセンスで名作に変えた。2020年7月現時点、まだ第一部が終わったところだが上手すぎて第二部が待ち遠しい。
ストーリーや描写はシンプルなのに面白いのは、作者の漫画家としての能力だろう。改めて漫画家のチカラの偉大さを再確認した。
「ザ・ファブル」のストーリー
伝説の殺し屋「ファブル」と呼ばれた人物がいた。幼少期より組織のボスから殺しの指導を受けており、数多の標的を仕留めている人物。
しかし、そんなファブルは「1年間大阪で誰も殺さず平和に暮らせ」と命じられる。ファブルは名前を佐藤明(アキラ)と偽り、殺し屋組織と繋がりのある暴力団「真黒組」に匿ってもらう形で生活を始める。
「殺し屋が平和に暮らす」がコンセプトだが、伝説の殺し屋であることや、ヤクザとの繋がりがあることでトラブルに巻き込まれていくストーリー。
ファブルによる戦闘アクションが圧巻
©ザ・ファブル 講談社
「伝説の殺し屋」と呼ばれるだけあって、ファブルの戦闘能力は異常に高い。もはや同じ人間が体得できると思えないレベルまでに達した戦闘アクションは見せ場。
平和に暮らすミッションを与えられているため、あくまで必要最低限の戦いしかやらないのだけど。それでも常人離れした戦闘シーンは、毎度ながら読者を魅了するものがある。
特に伝説の殺し屋であることは普段全く見せないため、戦闘シーンになると雰囲気もガラリと変わる。これは佐藤明から殺し屋ファブルに変わるという意味ではなく、漫画全体の雰囲気が重くなることを指す。
銃撃戦など、一瞬で生死を分けるやり取りもあるが、この緊張感がとても伝わる。ファブルは基本的に気だるそうなんだけど、これが強さとのギャップにもなっていて上手い。
最初は「無敵キャラだと面白みが薄れるのでは?」と思ったのだけど、読み進める内にこの絶対的な強さの必要性に気づいた。最強&無敵も悪くないね。
ショートコントが素晴らしい
作者である南勝久氏の笑いのセンスが大好きだ。作中では、ストーリーの合間に小ネタとしてコント仕立てのエピソードを入れてくる。
個人的に好きなのは、ファブルの相棒である佐藤洋子(ヨウコ)の存在。バーで誘ってくる男に酒を飲ませて潰すという話があるのだけど、酔い潰れるまでの男の頑張りにウケた(笑)
BARのカウンターなので、絵面でいうとほぼ変わらない場面なのだけど、ヨウコの煽りによって飲んで飲んで最終的に潰される男の哀れさよ。
漫画でコントをやるのは「これは絶対に面白い」という自信がないとやっても寒いだけなので、作者もかなり気に入っていると思われる。
大きな笑いを取りに来ているわけではなく、分かってくれる人にだけ分かってもらえたら良い感じが心地いい。
ちなみに、他キャラでもショートコントは見ることができる。ヤクザの子分やら、職場の社長やら。派手なアクションに緊張を持たせたと思えば、コントで笑いを誘う仕掛けあり。娯楽として突き詰めた作品だ。
ストーリーのまとめ方も良い
ファブルの第一部最終巻を今読みました。ひたすら素晴らしいですね。こんなにバランスの良い漫画ってあまり無いような気がします。
— 岩井洋一(柔術新聞 速報版) (@busujiujitsu) June 7, 2020
ひとまず第一部のラストまでの感想だが、「どう話をまとめるのか?」はずっと疑問だった。面白くなるほど、作品としてラストの良さが求められる。
そういった意味で、第一部として節目をキレイに作ったのはさすがとしか言いようがない。やり方によってはまだまだ長編にストーリーを作ることもできただろうけど。(第二部があるので実質終わってないがw)
私としては、想像していたよりも良い締めが待っていたので大満足。途中、無敵アクションをゴリ押すのか心配した時期もあったのはここだけの話(笑)
第二部も南勝久氏のセンスを信じるばかり。