出典:Amazon
モンタージュがおすすめの人
- 3億円事件に関心がある
- 真相解明に向けた伏線ストーリーが好き
- 一気読みしたくなる勢いある作品を探している
昭和の未解決事件である「3億円強奪事件」が題材。散々、親から「こういう事件があったんだぞ」と聞かされ関心を持っていたので、本作を知ってからはすぐに読んだ。
サスペンス作品としてよく出来ていて伏線の張り方が面白い(現実にありえる内容かはさておき)。多くの人物を登場させ作り上げていくストーリーの虜になった。
「時間があるから一気読みしたくなる漫画を探している」という方など、まず1巻を読んでみて欲しい。フィクションだが事件の真相は・・という好奇心を刺激する良作。
「三億円事件奇譚 モンタージュ」のストーリー
©モンタージュ 講談社
昭和の未解決事件である「3億事件」の真相を巡るフィクション漫画。犯人逮捕に至らず時効を迎えた事件は現代に受け継がれていた。
主人公・鳴海大和は瀕死の刑事を発見。その際に「お前の父親は、三億円事件の犯人だ」と告げられる。大和は残された手がかりを集め、事件真相の解明に動き出す。
登場人物がみんな悪者に見えてくる
「モンタージュ」って漫画が面白いチラッと耳にしたので、早速kindleで購入。
オモロいぞコレ。もう10巻まで読んだ
— 民間人Xの献身@ツイ減中 (@L_P_N_1887) April 16, 2015
物語の冒頭で、大和に「誰も信じるな」と死んでいく刑事がいるのだけど、彼の言葉がものすごく重たい意味を持っている。
序盤からどんどん登場キャラを増やしていき、作者も意図的に怪しい空気感を漂わせることに力を入れていた。
そう簡単に事件が見えてこないよう、綿密に伏線を組み立てていることがわかるので、「これは面白い!」というニオイがプンプンする。
あいつ悪そうだな、こいつも悪そうだな。もしかしたらこの人物も?という具合に。サスペンス漫画は、どれだけ意表をついてくるかで面白さも変わってくるので、私はとてもワクワクさせられた。
なぜこの人物はこんな行動を取るのかといった、伏線もしっかり回収されていくので安心して読める。
当時と現代の時間軸がスムーズに動く
3億円事件の真相に迫るため、当時何が起こっていたのかという流れも描かれている。時間軸が動く作品は、行ったり来たりで話が混乱することもあるのだけど特に問題なし。
スムーズに描かれており、小出しにしながら過去に起こっていた話が出されていく。「すごく気になる」という場面で一気に現代に話を戻したり、その逆もあったり。
「実際、3億円事件の裏側はこうだったのでは?」と推測することが、私を含めた3億円事件に関心のある人の楽しみでもある。
現代はもちろん、当時の人物関係なども力を入れているため、ドラマ性を強く感じられて良い。時間軸の動きは読者に疲れを起こさせることもあるが、退屈にさせない展開にプロットを組んだことが伺える。
現実離れし過ぎた展開は若干気になるところ
漫画としては面白く、私は最後まで突っ走って読めたので評価している。ただ、3億円事件をテーマにする以上、それなりにノンフィクション風に近づけて欲しい気持ちもあった。
例えば主人公・大和は序盤から濡れ衣によって逃亡生活することになるが、警察に疑われるという状況。警察内部にも怪しい人間がいることで、大和にとって都合を悪くする設定を描いたのだろうけど・・。
逃亡生活がそこそこ長く描かれたことで、現実的に考えると難しいんだよなと思ったり。現実味がある内容だけで全て描くと、盛り上げる展開にも限界があるので仕方がないところだが。
ただ、非現実的なことだからこそ、展開が二転三転させられたのも事実。読み始めたら一気読みしたくなるので、時間に余裕がある方はぜひ。