冒険

「20世紀少年/21世紀少年」昭和ノスタルジーにうなるSF大冒険

20世紀少年

出典:Amazon

総合評価 A (めちゃくちゃ面白い)

20世紀少年がおすすめの人

  • 昭和45年前後のノスタルジックな雰囲気が好きな人
  • 本格SFサスペンス漫画を探している人
  • 宗教事件をモチーフにした作品を読みたい人

練りに練ったであろう構想は分かるが、それでも伏線がえげつない上手さ。物語の始まりは至って普通で、「主人公の姉がトラブルに巻き込まれてるな」くらいの印象だったのに。

それが読み進めていくと、どうやら「トラブルってレベルじゃねーぞ」という規模にまで話は広がっていく。気づいた時には、世界を巻き込む大事件に夢中になる私。

「宗教事件」を取り入れており、薄気味悪さや不気味さが終始漂っていて。昭和ノスタルジーな世界観を舞台に、読者も冒険に駆り出されて興奮が止まらない

「20世紀少年」のストーリー

©20世紀少年 小学館

1997年、主人公・ケンヂは突然失踪してしまった姉の娘・カンナを養いつつ、コンビニ経営をしていた。

しかし、得意先の敷島一家の失踪や、幼馴染の死がきっかけとなり、薄れかけていた子供時代の記憶が呼び覚まされる。記憶は、子供時代に友人たちと空想した「よげんの書」。

そして世界各地で異変が起こっていくことと、「よげんの書」の内容がリンクしていく。これらの事件や出来事の影にいる謎の人物を追うSFサスペンス冒険劇。

時間軸を上手く使った伏線と回収のやり取りに感動

作中では、ケンヂを含む少年たちの子供時代(1970年前後)と、現代(1997年以降)を行き来させるように描かれている。昔あったことを思い出し、現代での事件解決に役立てるという具合に。

面白いのは、1970年代の子供たちの様子が鮮明に描かれていることだ。当時の子供たちの間で流行ったものが、本編の中で幾度となく出てくる。このノスタルジックさにワクワクさせられるのだ。

何気なくやっていた少年時代の出来事が、実は伏線となっていて。子供時代の記憶は、誰しもが覚えているものではないため、ストーリー進行とともに呼び覚まされる設定もよい。

最初は、「時間を往復しているので複雑になるのかな」とも心配したが・・。何のことはない。あっという間に、過去の出来事を楽しみにするようになる私がいた。伏線は見事というほかない。

少年時代(S45年前後)のネタが面白さに拍車をかける

「昔のほうが良かった」という人や、「あの当時はこんな感じだった」という話が好きな人がいる。私もその一人だが、本作は如実にこういった懐古を楽しませてくれる。

昭和45年なので、私は生まれてもいないのだけど。当時の大流行ネタが惜しげもなく描かれていることが、面白さの秘密であるとも思った

大阪万博に盛り上がる子供たち。アポロ11号の月面着陸。スプーン曲げ。平凡パンチ。ボーリング。当時を生きていなくとも、うわぁ・・懐かしいと感傷に浸ることができる。

これらも無駄に描いている訳ではなく、ちゃんと物語に関連付けて行く。ノスタルジックひけらかしにしないところが作者の上手さ。

オウム事件を彷彿とさせる宗教団体の不気味さ

ちなみに、誰もが見入ってしまうポイントとしては、あのオウムを彷彿とさせる宗教団体が背景にあること。この団体が事件を起こすが、オウムをモチーフにしていると思われる。

オウムが社会に与えた宗教団体のイメージが直結しており、細菌ウイルスなどはモチーフにしたと思われる。組織の邪魔になる人間を「絶交」と称して殺すところとか・・。

特にリアルタイムでオウム事件を見ていた私としては、本作に出てくる宗教団体に怖さを感じた。もちろん、宗教が悪いわけじゃないのだけど。

22巻+2巻と少し長いが、一気読みしてしまうことは間違いない。ネタバレ回避のためにも、ウィキペディアを始めとした関連サイトは見ないことをおすすめする。

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