プチDQNな母親と、可愛過ぎる捨て子の親子ドラマ『ママゴト』

ストーリー、ジャンル

主人公・映子は貧乏な家を出て寮暮らしをする風俗嬢だった。ある時、誰の子かすら分からないまま妊娠をするも、「幸せな家庭」を望むがゆえに出産を決意。しかし仲間に受け入れられず、風俗寮を去る事になる。育児環境もろくに整っていない中、映子自身の過失により、乳児を死なせてしまい悲しみが彼女を襲う。

それから20年・・・スナックのママになっていた映子。家庭的なことは何も出来ないが、それなりに幸せな環境を築き上げ生活をやり繰りしていた。そんな折に、風俗時代に映子を追い出した同僚・滋子がやってくるが、5歳の子供を連れてきてそのまま置いて出て行く・・・。子供はタイジという男の子。

捨てられた自覚もない、少年・タイジを雑にする事の出来ない映子は2人で生活する事になる。疑似親子ドラマ作品として描かれる絆が熱い。

不健全環境ドラマ

映子自身が恵まれていない環境下で育ち、そのまま風俗の世界へ・・というのは近年で話題になる貧困女性のリアルを描いていると思う。映子も好き勝手にやっていたわけではなく、そういった貧困層として生きる中での偶然による妊娠だったと思う。

人によっては、映子が中絶しなかった事を責めるかもしれないが、彼女は幸せな家庭に育たなかった事でそういった常識的な判断を越えて、子供と生きる幸せを願ったのだと私は解釈している。結果的に死なせてしまったけれど、そこを責めるというのも何か違和感がある。

そして、その映子にタイジという元同僚の子供がやって来るのもある意味では運命だ。タイジが最初は鬱陶しい存在だったかもしれないが、映子自身が過去で子供を失った事などを引きずっていたわけで。タイジがやってきた事で、子供の可愛らしさとか存在する理由などを考えるようになったのは幸せな事だと思う。

ただタイジの母親である滋子の勝ってぶりも見ていて複雑だ。捨てておきながら、タイジを引き取りに行くと言い出すのだけど、私からすれば「なんで今なの!?」という気持ちになる。疑似親子だが、せっかく馴染み始めた2人の関係を引き裂かれるのは、昔映子が子供を失った事となんら変わらない苦悩なのだ

産みの親、育ての親なんて言葉はあるが、どっちも親は親なんだって気持ちになった。松田洋子氏の描くタッチは本作に合っていて、ちょっと不健全な環境で生活する人たちを上手く描いていると思う。世間的に見ると、あまり羨ましいと思えない空気感を演出込みでガッチリと表現しているのはさすがだ

こんな人にオススメ

当然だが、親子ドラマ系が好きな人は楽しめる。この手の作品は、子供の可愛らしさが肝心なのだが、タイジのビジュアルが凄くイイ。ぽっちゃり肥満で素直な少年で、彼の話す言葉も可愛い。松田氏の台詞回しとマッチしていて、映子がどんどん母親になっていく理由が読者側にも伝わって来る。子育て中の母親などからも支持されそう。

疑似家族とか疑似親子の環境は、血縁的な繋がりが無い分だけ絆が芽生えたらすごく強いのだろう。価値観の問題でもあるけど、「自分の元に友人が勝手に子供を置いて行ったら最悪!」とか思っている人などは、試しに読んでみると考えさせられる内容となっている。

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