出典:Amazon
ママはテンパリストがおすすめの人
- 育児を舐めている人
- 育児で疲れている人
- 育児で笑いたい人
ヒットメーカーである東村アキコ氏自身の体験を元にした育児エッセイ漫画。卓越したギャグセンスが活きており、大変であろう育児生活を面白おかしく描いている。
本作のキャッチコピーは「すみません 育児ナメてました」と育児苦労を想起させるのだけど。それにも関わらず、むしろ読んだ人は子供が欲しくなるほど愛のある作品。
子育てで疲れている人に、息抜きがてら読んでもらえるといいのだけど、逆に爆笑して体力を消耗することにご注意を。4巻で終わったのは寂しいかな(苦笑)
「ママはテンパリスト」のストーリー
先日初めて『ママはテンパリスト』を読んだんですが、東村アキコの印象が変わりました。何度声あげて笑ったか分からないくらい笑った。超面白いです、ママテン。
— calmlike (@calmlike) January 12, 2010
作者・東村アキコ氏と息子(ごっちゃん)の関係を描いた子育て奮闘エッセイ。
寝ない、いたずら大好きなごっちゃんにテンパりながらも、ギャグと作者の独自視点を上手く織り交ぜ描いている。
育児専門誌には載らないリアルな生活風景
©ママはテンパリスト 集英社
本作がどうしてここまでウケるのかを考えると、悩んでも答えの出ない「子供らしい行動」がこれでもかと描かれているからだ。
子育てに悩むと、うちの子はどうして・・と考えがちだが、ごっちゃんのように想定外につぐ想定外なことを起こされると、もはや受け入れるしか無い。
東村氏も困惑&テンパりな状態に陥っている様が描かれるが、むしろ「子供とはこういうものだろう」という達観した部分があったように思う。
育児専門誌などのQ&Aで、「うちの子が水道を使って滝修行をしているのですが」なんて・・掲載されないだろう(苦笑)
そのリアルなトラブルも見事にネタにしていることで、結果的に東村氏は漫画にできるし、育児中の読者にも共感され双方が得をしている。
東村氏も、育児でボロボロになっているのだけど・・。このボロボロ感も含め奮闘しているからこそリアルがより伝わってきた。アシスタントも巻き込んで子育てしており、まさに育児生活がここにある。
覚えていない幼児期の頃を想起して楽しめる
自分の幼児期を振り返って欲しい。一体、どれくらいの人が「自分はどんなことをやっていたか」を言えるだろうか。
仮に記憶があっても断片的だろうし、そもそも何を話していたかなど覚えてないはず。親に聞いても、親も記録を取っているわけではないし忘れられていく。
そんな時期を、ごっちゃんが代わりに体験させてくれている部分もある。嘘をついたり、言い訳したり。子供ってこういうことを言うんだなと。
ここを東村氏も切り取って作品にしているので、ある意味ごっちゃんに取っては黒歴史を記録されてるわけだけど(苦笑)
今はスマホの登場で、動画で残すなんて余裕の時代だ。動画で残すなんてなかった時代の人が読めば、覚えていないであろう幼児期を想起できる。
アホな言動もあったんだろうなと。私もできることなら、自分の幼児期にどんな言動をしていたのか知りたくなった。
「理想の育児」を追求していない
ラストはこれに尽きるのかなと。作者は育児エッセイを描きつつも、「こういう育児方法を試しています」といった理想を追っていない。
子供ができると、少しでもいい子に育つように何かしてやりたくなる心理は働くだろう。しかし、本作はそういう部分よりも、母・東村氏と息子・ごっちゃんの関係性に重きを置いている。
「ネットで叩かれたくない」という東村氏の考えもあるのだろうけど、そもそも東村氏はそういう育児理論などに振り回されないタイプではないか。
私は子供がいないので、理想の育児論など本を読み子育てを考えたりするが。「実際、子供ができると理想は理想なんだよ!」的な現状があり、ここを等身大で描いたのは大きい。
久しぶりに調べたら、ごっちゃんは2020年現在、中学3年生(15歳)のようで。読者の立場からすると、もう高校に上がるのかと。読者なのに親戚のおっさんになった気持ちだ(笑)