エッセイ・日常

「妻と僕の小規模な育児」こんなパパなら救われる男子も増える!

妻と僕の小規模な育児

出典:Amazon

総合評価 S (殿堂入り)

妻と僕の小規模な育児がおすすめの人

  • 子供がいるが社会性に乏しい男性
  • 子供の成長にあれこれ不安を抱えている人
  • 夫婦で読める育児マンガを探している人

まず思ったのは、「こんなパパなら救われる男の子は多いだろうな」ということ。福満夫妻には二人の男の子がいるが、昭和的な「男なら力で人生をこじ開けろ」的な押し付けがない。

病気になったり、イジメを受けたり、何かと泣いてしまうような問題に直面する子どもたち。ここに福満氏は、彼らに力を求めるわけでもなく甘やかすでもなく。寄り添う形で成長を促している。

私も子供時代、イジメにあって自信を失ってきたが、もし福満パパのような存在がいたら・・。きっと今のような鬱屈した人生は歩まなかったと思ってしまうのだ。新しいパパ像とも呼べる良質育児エッセイ

「妻と僕の小規模な育児」のストーリー

©妻と僕の小規模な育児 講談社

漫画家・福満しげゆき氏と妻による子育てエッセイ作品。子供を持つことに不安のあった福満氏自身が子育てをしている中で気づくことを描いている。

福満作品ではおなじみの妻の存在も輝いており、等身大のまま子育てする二人を含めた一家の物語。

子供の生まれながらの病気や、手術など医学的なこと。また、発達の遅れやイジメなど周囲との関係にも触れている。様々なトラブルに福満夫妻はいかに対応するのか?

福満氏は令和バージョンの新しいパパ像

福満氏のお子さんがイジメられる話があるが、これに対して福満氏は解決の知恵を貸したり、その子なりの戦い方を教えるシーンがある。これはとても令和的な対応だ。

男児は「やられたらやり返せ」と言われがちで、コマンド的に戦うの一択を求められることが多い。逃げるどころか、アイテムや防御もだめ判定されるのだ(苦笑)

しかし、力の弱い子や気弱な子。もともとケンカで解決といった、昭和スタイルを望まない子は私を含め山程いる。そこを力で解決するように言われると、子供は行き詰まり悩みも深刻化しがち。

怖いとか不安とか。子供は他の子に対して、弱くなっているところを見られたくない。しかし、福満氏は全面に受け止め、怖いよなと自分も弱さを見せ「パパも分かるぞ」と寄り添う

「男なら~」のひと言で、弱い自分を責め、誰にも相談できなくなる子がどれだけいたことか。「強くあれ精神」のゴリ押しではなく、子供個人に取ってのアドバイスはありがたい。

お子さんは平成生まれのようだが、福満氏は令和ならではのパパ像とも言え、子供から信頼される父親とはこういう人のことだと断言したい。

妻がママに変わっていく素晴らしさ

福満作品は、妻もかなりの割合で関与している。この妻が可愛らしさや、面白さをキープしつつ、ママに変わっていくのが素晴らしい。

病気の対応に始まり、塾など学業や、発育についてあれこれ回ったり。母として心配している様子が描かれる。

私は「妻恋など」過去作も知っている影響があり、もっとドーンとおおらかに何でも「大丈夫!」と言っちゃう人だと思っていたので意外性があった。

女の人は子供ができるとがっつり守るというが、その母性感がにじみ出て良い。夫婦の成長記録としても、福満ファンにはたまらないモノがある。

対象的に福満氏は、令和のパパ的な感じを出しつつも、根底にある性格は変わっていないように思う。女性は子供ができると変わるというが・・。特に女性読者は、妻に共感するポイントが多いのでは。

重めの話もあるけどコミカルなので問題なし

子供の病気や障害、手術、イジメ被害などテーマとしては暗かったり、重い印象を受けるかもしれない。ただ、全体で見ると、困難を乗り越えるコミカルさが目立っていい。

子供の才能を信じることや、観察している様は笑ってしまった。福満氏のネガティブ思考からネタは派生するので、視点的には重めテーマに感じるのかもしれない。

ただそこはプロ。ほっこりとする良い家族テーマに繋げ、笑えまくるし家族の良さを再確認させてくれた。まだまだ2巻しか発売していない(2020年8月現在)が、続編を強く望む。

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