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サラブレッドと暮らしていますがおすすめの人
- 競馬が好き
- 厩務員の仕事に興味がある
- 一般的に知られていない話が読みたい
競馬と聞いてイメージするのは、白熱するレースシーンではないだろうか。大歓声が巻き起こるゴール前の直線で、騎手がムチを入れて壮絶な叩き合い。
そんな華やかな「オモテ」の話は一般的にも認知されているが、競走馬がどのように育成されるのかという「ウラ」の話になると・・。
おそらく、よっぽどの競馬ファンでないと知らないだろう。そんな意外と知られていない競馬の舞台裏が読めるのが本作。競馬好きにはぜひおすすめしたい。
「サラブレッドと暮らしています。」のストーリー
本屋行っても無かったので、Kindle版を買いました。「サラブレッドと暮らしてます」。園田競馬の厩務員さんが描いた漫画だけど、先日厩舎見学させてもらっただけに情景が鮮明に分かる。ストーリーも良くまとめられてて面白かったです(*`ω´)
オススメします pic.twitter.com/YaM9BOg2pi— SAGAちゃ (@sagachastaygold) October 31, 2016
作者は園田競馬場(兵庫県)の厩務員。競走馬の育成に携わっている体験を自身で漫画化。
競走馬がレースで走るまでの裏側を、厩務員の立場から語っている。一般的に知られていない知識ネタや、笑える話から泣けるエピソードまで収録。
競馬に興味がない人でも、お仕事エッセイとして読めるため面白い。もちろん、競馬ファンにはとても有意義な内容だ。
競馬好きには画期的な漫画
©サラブレッドと暮らしています。 白泉社
私は見るだけではあるが、競馬が好きでちょくちょく日曜日の競馬番組を見ている。メインはレースシーンなのだけど、そこに至るまでに多くの人が携わっていることは知っていた。
ただ、それはテレビに映るだけの世界で、厩舎でどのように馬が過ごしているのかなど、あまり知らなかった。
馬の性格や習性などは知っているつもりだったが、馬も生き物なので一筋縄ではいかない様子などが伝わってくる。「馬ってこんなことをするんだ」という発見と言うべきか。
「これは内部で働かないとわかりにくネタだな」というような話に思わず笑ってしまったり。そして、競馬がいかに裏方の人たちの存在で成り立っているかが伝わってくる。
レースで勝つには、競走馬と騎手のどちらが重要かといった話も聞くが、これを読むとそういう次元でないことも理解できる。こういった漫画はもっと出てきていい。
思っている以上に危険な仕事
作中で気になったのは、かなり厩務員の方々が馬に蹴られている点だ。大人しくするように調教されているとは言え、そこは動物の世界。
不機嫌な時もあれば、言うことを聞きたくない時もある。そこでしっぽで叩かれたり、時には暴れた拍子に振り落とされたり。
馬はそこまで怖くないという認識だったが、私が見ているのはあくまでテレビに出られる馬だ。(レースもこなせると判断されて出てきている証拠)
まだ調教している段階なので、予想外のトラブルを起こす馬がいたり。「馬の後ろに立つな」は当然ながら(蹴られるから)、前にいてもかかと落としを食らっていたり。本当に大丈夫なのだろうか(汗)
人を襲うことは無いにせよ、蹴られるというのはある種の事故。いつも危険と隣り合わせでも頑張っているスタッフさんが本当にすごい。感服の一作であった。
園田競馬の公式サイトで連載も
本作が面白かったこともあり、作者の田村氏は園田競馬の公式サイトで連載をしている。裏話としてのテイストは漫画と似ており、試しに読んでみて面白ければ本作を読むのも良いだろう。
公式掲載作品も漫画もどちらも面白いので、ぜひこのまま連載を続けて欲しいと願うばかりだ。クセのない絵でほのぼのしており、スムーズに入り込めるのがよかった。