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サイレーンがおすすめの人
- しっかりと捜査をする刑事漫画が好き
- コンビの刑事ストーリーが好き
- 犯人探しより犯行動機を描く作品がみたい
ドラマ化されて話題になる前から知っていたが、案の定大ヒットした。元々ドラマに向いた作品であることは否定しないが、それでも私は漫画としての面白さを感じて欲しいと思う。
物語としてのテンポの良さ、犯人が序盤から判明しているものの、隠しきれないミステリアスな空気。恋仲にある刑事コンビなど、プロットから細かく考えられているのだなと関心。
刑事系の作品は、中途半端になると警察ごっこ漫画のようにもなりかねない。その点本作は「捜査」をしっかり行い、刑事と共に真相に近づける視点が良い。刑事モノが好きなら黙って読みの一択。
「サイレーン」のストーリー
猪熊夕貴と里見偲は、機動捜査隊のコンビ刑事でありながら実は恋仲でもある。そんな二人が変死体発見現場で出会ったのが橘カラという美人女性。
この事件以降も猪熊、里見の前に姿を現すカラ。謎の女の正体を突き止めるべく、ストーリーは展開されていく。
謎に包まれた橘カラが魅力的
©サイレーン 講談社
警察による捜査が繰り広げられる漫画だが、犯人不明といった展開ではなく、最初から橘カラが犯人だと分かる。
「こいつが犯人だろう」ということは、第一話から分かるが、なぜ犯行に関わっているのかといったカラの背景が全く読めない。
これによって、謎に包まれたカラの魅力が生まれていき、ミステリアスな犯人像が形成されていく。私の場合、冒頭から何者なのかわからない不気味さで、すでにカラが魅力的に思えていた。
作者の絵も上手く、ストーリーとあっているのだろう。カラは間違いなく美人に見えるし、美人の持つ冷たさも表現できていた。(美人が冷たいは偏見だけどw)
刑事視点と犯人視点が介在している面白さ
山崎紗也夏さんのサイレーン読んだ。やっぱこの人絵うまいなぁ・・・物語も相変わらず展開とキャラクターが面白い。恋愛も絡んでて今度はミステリーというか刑事物というか読み終わったあとも続き読みたいって気持ちと満足感はんぱなかった。1巻から追えて幸せだ~( ̄ー ̄)
— ?よしのくん? (@ysnooodle_) October 24, 2013
私の好奇心を刺激した点として、刑事としてしっかり捜査活動を行う姿が描かれていること。そして、カラという犯人側の犯行も同時に描いていることにあった。
普通、犯人の動きまで事細かに描くとネタばれなので描かないパターンが多い。しかし本作は橘カラが犯人であることも含めて、淡々と犯行シーンも見せる。
ただ分からないことは、なぜカラが犯行を犯しているかだけなのだ。この「なぜ」を読者に煽ることで、次が読みたくなる流れを作ったと言える。
猪熊&里見の捜査を見せられるので、読み手だけが「橘カラはこういうことをしているんだ。早く気づけ!」とヤキモキさせるテクニックなのか。
一つの事件を、読者だけが全て知ったポジションで読む。すべて知っているけど、カラの犯行動機までは読めないもどかしさ。この読者心理の扱い方が素晴らしい。
真相解明の展開はしっかり完成
これ以上はネタばれになるので伏せているが、ここまで大風呂敷を広げて事件物をやるなら、竜頭蛇尾になりかねない。つまり真相解明の中で、しっかりオチがついているかが問題。
カラの犯行動機や正体に加え、起こった事件の繋がりなど、伏線を回収できるかどうか。これについては、満足の行く展開で読後感も良かった。
猪熊&里見の恋仲コンビも、物語に並行して人間味溢れる展開があるなど見どころはたくさん。しっかり完成された申し分なき作品。