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虐殺ハッピーエンドがおすすめの人
- タイムリープ系が好き(苦手じゃない)
- 残虐描写を求めている
- 伏線回収までのテンポの良さを重視
人を殺さないと毎日が繰り返されるタイムリープ作品。タイトルに「虐殺」とあるように、ただ殺すだけではない描写がある。「そこまでやる!?」的なシーンがあるのは絵面でインパクトを与えるためだろう。
物語の新しさを問われると、タイムリープもあり、ありがちだよね・・と考える部分もある。実際に読み始めは、あるあるな設定だなと思った。
ただ作中はテンポよく話が進むので、いつも展開的にはハラハラさせられる。タイムリープが嫌じゃなければ、読んでみるのもいいだろう。ちなみに私は一気読みしたほど面白いと思った派。
「虐殺ハッピーエンド」のストーリー
©虐殺ハッピーエンド 白泉社
主人公・草壁真琴は高校生。手術でなければ助からない病気の妹・詩織を支えるべくバイトもしていた。
しかし、そんな真琴の父親がある日、入院費として貯めていたお金を使い込んでしまう。途方に暮れた真琴は神社の前で「こんな毎日が続くなら僕と詩織に明日なんか来なければいい」と叫ぶ。
これをきっかけに、真琴と詩織は毎日が繰り返されるというタイムリープ現象に巻き込まれる。詩織は手術を急がないといけないのに、タイムリープで体力消耗のピンチ。
この巻き戻しを止め、次の日に進むには、誰かを殺さないといけない真琴が起こす殺人サイコサスペンス。
映えるサブキャラ
虐殺ハッピーエンド終った ずっとあの緊張感を張ったまま物語を進み続けるのは本当にすごい
— コミケ中止になったので新曲でもアップしようかと思っているおどP (@vocaliod_P) November 28, 2019
私としては、正直タイムリープ系がそこまで好きではない。それでも本作を読んで面白いと一気に進めたのは、主人公である真琴を取り巻くサブキャラが映えていたからだ。
真琴によって殺人事件が起こされるので、当然ながら警察は動く。ただ、タイムリープを使いながら巧妙な殺人を犯すので、なかなか警察は事件の真相を捉えづらい。
そういった中でタイムリープを推理して真琴を追う刑事・九十九が現れる。この九十九がクセモノで、かなりぶっ飛んでいた。真琴が主役だが、存在感でいうと九十九もなかなか(笑)
警察以外だと、片桐という女の子。この子もまた色んな意味でインパクトを残すが、彼女もまた色々と酷い目に合うのでいたたまれない気持ち。
気分が良くなる展開のほうが少ないのだけど、キャラたちによる演出が上手いのでストーリーの緊張感も途切れない。
人を殺すだけでは止まらない描写と展開
人を殺すことで1日日付を進められる設定なのだけど、ただ殺すだけではないところが本作の見どころでもある。
最初は真琴も殺すことに慣れていないので、殺る殺らないに葛藤を抱いている。これが慣れてきて、「今日のお仕事」みたいになっていくのだけど(苦笑)
首を絞めたり、刺殺したりという流れはもちろんながら、ピンチを乗り越えるための殺し方を行ったり。感情に身を任せて思い切り殺したり。
グロ耐性がない人はちょっと注意かもしれない。ちなみにこの殺しにも伏線を入れてきたりするので、淡々としたストーリーにならないところが良い。
「なるほど、こういう設定を使ってきたか」という面白さがあるからこそ、読み手も最後までしっかり着いて行きたくなる。残虐描写を求める層へのアプローチも十分だ。
気になるポイントは現実味にかけるところもある殺人シーン
デメリット的に気になるところがあるとすれば、真琴が体型的には強そうに見えないのに、ケンカに強いところだろうか。
相手も黙ってやられるばかりではないのに、その相手を真琴があっさり倒すシーンが度々ある。
もっと苦労してようやく仕留めたという描写があると、リアリティの観点で言えば有利だったはず。と言っても、毎回必死に格闘して息の根を止めてたら、それはそれで生々しすぎるのだけど(汗)
「上手く事が運びすぎる」といった、漫画特有のご都合主義を軽くスルーできる方向けの側面もある。