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ブリザードアクセルがおすすめの人
- フィギュアスケートが好き
- フィギュア選手の凄さが今ひとつ分からない
- フィギュアの採点方式や技術に詳しくなりたい
ひと昔前に比べると、日本のフィギュアスケート全体のレベルは上がり、オリンピックでメダルを取る選手も増えている。近年だと羽生結弦選手がブームを巻き起こしているなど注目度が高い。
しかし、フィギュアスケートに注目はしているけれど、「実際にどれくらいすごいことをしているのか?」という点で見ると私はわからないことだらけだ。
そんな私のような人でも分かるように、かつ漫画として面白く仕上げているのが本作。フィギュアスケートについて興味があるなら誰が読んでも面白い。
「ブリザードアクセル」のストーリー
©ブリザードアクセル 小学館
ケンカに明け暮れる主人公・北里吹雪。両親に関心を向けられたかったためケンカをしていたが、全く見向きもされない不良少年。
しかしフィギュアに出会い、人々の注目の的になったことで面白さに目覚める。元々の運動能力の高さからフィギュアに順応しつつ、ライバルと戦い技を磨いていく。
フィギュアに馴染みのない読者のため、採点方式や競技中に出てくる技など、分かりやすい解説も入り読みやすい。
フィギュアは見てるけど、何がどう凄いのかを理解していなかった
フィギュアスケートの漫画ってなかったっけと記憶を辿ってたら思い出した。ブリザードアクセル。
— キュアカイシャイン小鳥遊 (@taka_nashi) February 14, 2014
我々がフィギュアスケートを目にする機会と言ったら、おそらくオリンピックに関連した選手の競技を見るくらいだろう。
そのため、競技を見ていてもみんなスイスイ滑り、軽く飛んで回転をしているようにも見えてしまう。私の場合「簡単なのかな」というふうに見えることもあった。
しかし本作は、そんな私のような人に主人公・北里吹雪を通して凄さを伝えてくる。
分かってはいたが、簡単なようで実はすごく大変なことを選手たちはやっている。漫画ではあるが、ジャンプや回転に必要な技術、そこに至るまでの苦悩が描かれ、素人には発見ばかりの連続。
私の場合は、演技が終わり選手が息切れしているところを見て「大変なんだろうな」と思っていたくらいだが(汗)本作を読むとこういった当たり前が当たり前でないことを理解できる。
「競争の中の競争」をくぐり抜けるストーリー
また、ライバルを始めとした選手たちの中から、いかにレベルを上げて勝ち抜かないといけないかが描かれる。仲間ではあるけど、友達ではない。
実際のフィギュアと同じで、才能ある選手たちの中から、トップオブトップとして出てくることを求められる。漫画としてライバルと戦うことは想定内だが、現実の世界とのリンクさせることによって、より過酷な物語に見える。
オリンピックで金メダルを取ることは、並大抵の話ではないことは分かっている。選手たちの悩みや苦悩にもスポットを当て、しっかりと漫画として成立させたことが何より凄い。
「観客の心をつかむ人間が勝つ」という流れが作中にあるが的確だと思う。上手い、下手という話ではなく、「見ている側がワクワクするような演技」は誰もが望むものだからだ。
私だと、浅田真央選手にはいつも心動かされていた。素人なりに見てそう思うのだから、プロたちの間での評価基準に「心をつかむ」はあるのだろう。(採点になるかどうかは別)
フィギュアがわからない人でも、この点は不思議と理解しているかと思う。実際、金メダルではないけど見ていて感動する選手が心に残るのは確かなのだから。
技が後半で現実離れするけど、そこは漫画として受け止める
リアリティを求める人には、一つだけデメリットが。それは後半でちょっと現実離れした技も入ること。スポーツ「漫画」と割り切れたら問題ないが、ガチリアリティを求めるならしんどいかも。
ただ現実に存在する最高の技を目標にやると、作品の流れとしては若干物足りないので、私は別に気にならなかったが。
よくあるスポーツ漫画特有の、非現実描写が許せないという人には勧めないが・・。物語に惹き込む作者の展開力は上手いので、フィギュアに関心があれば問題ない。