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四月は君の嘘がおすすめの人
- 恋愛における秀逸な心理描写を期待
- 音楽漫画を読みたい
- 挫折や失敗にぶち当たっている人
本作はピアノ、バイオリンの演奏家がメインに出てくるのだけど、漫画なのに読んでいると音が聴こえてくる。「それは音楽をやっていたからでは?」と思うかもしれないが、私の場合は音楽の世界に疎いにも関わらず聴こえてきた。(真顔)
TVでワンピース尾田栄一郎先生が嫉妬した漫画の紹介。あの尾田先生が嫉妬を?と期待高まり。先生が締切前に読み原稿落としかけ、グイグイ引き込むんじゃないよ!といわしめたのが新川直司先生「四月は君の嘘」。スタジオ全員すごく帰りに買う感に pic.twitter.com/zaiKkGwKxD
— lunch (@lunch0515) December 29, 2015
これは私だけだろうかと思っていたら、あのワンピースの作者である尾田栄一郎氏も同じような表現をしている。おそらく、大半の読者には聴こえているのだろう。
それだけ圧巻の演奏シーンを奏でるため、音楽漫画を読みたい人でなくともぜひ読んで欲しい。
青春ラブストーリーの心理描写に注目
©四月は君の嘘 講談社
音楽漫画だけど、各キャラが人を想う様を絶妙なバランスで描いている。
主人公・有馬公生にバイオリニストの宮園かをり。公正の幼馴染の澤部椿。公正の親友・渡亮太。4人の男女の恋すべてを応援したくなる儚さだった。
公正とかをりが中心ではあるが、その二人を一歩引いた位置から友人として見ている椿と渡はいい役をやっている。
この恋物語にもラストはしっかりあるのだけど、これは原作でしっかり受け止め、そして泣くしかない。こんなにキレイで美しいラブストーリーの結末にはなかなかお目にかかれない。
作中の彼らは一生懸命だ。その一生懸命さが伝わってくるからこそ、彼女らの心理描写に際立ちがあった。誰の恋が一番とかじゃない。彼ら全ての恋がみんな素晴らしい。
4人の、どの位置に自分を置くか、読後にじわじわやってくる感動は今も残っている。
挫折や失敗中の人にとって励みになる
主人公の有馬公生は天才と言われつつも、大きな挫折を経験する。その経験からピアノが上手く引けなくなるのだけど、宮園かをりの登場で復活に導かれていく。
挫折しない、もしくは失敗しない人なんて誰もいない。そんな誰もが経験する苦悩へのもがきが、公正を通して可視化されていく。
仲間に勇気づけられることや、挫折を克服してからのこと。そういった場面が多く描かれていて、自己啓発本ではないけれど、読んだら「自分も頑張らなければ」と思えてくる。
演奏者は公正やかをり以外にも出てくるが、やはり彼らは演奏家ならではの壁にぶち当たり、そこで苦悩していることが伝わってくる。
人それぞれ違う苦悩があるが、乗り越えていくためのきっかけや、戦い方、心の持ち方は漫画を通して参考になる。
ヒロイン・宮園かをりの天真爛漫さに惚れる
個人的に、ヒロインである宮園かをりに惚れた。彼女の天真爛漫さというか、自分を持っていて演奏で周りの評価を気にせず、好きなように引いてオーディエンスを味方につけるところとか。
「音楽が聴こえる漫画」といったが、特に音が聴こえてくるのは、かをりの演奏シーン。真っ直ぐな性格、人に対する優しさ、ところどころで見える臆病さ。
全てが相まって名ヒロイン・宮園かをりが生まれている。作品の主人公は公正と紹介されることが大半だが、W主人公として彼女も並んでおかしくないくらい存在が輝いていた。本作のラストは彼女無しでは語れない。