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BOYがおすすめの人
- 悪役は狂人であるほうが面白い
- やることなすこと現実離れした不良たちが見たい
- 昭和の不良像を平成バージョンに変えた不良漫画が読みたい
連載時は小学生だった。高校生の不良漫画なので、年齢的には少しお兄さんたちの話なのだけど。主人公は無敵で、世界征服が野望という分かりやすい設定に虜となった。
私自身は、自他共に認める大人しい性格の子供だったが、あまりにも本作が面白かったことで、大人が嫌がるであろう不良漫画の影響を受けてしまった一人。
作中においてバイク同士で正面衝突させるチキンレースなどをやっていたが、自転車で真似ていたり。根性試しをするつもりはないけど、本作の世界観に少しでも入りたかった思い出がある(笑)
「BOY」のストーリー
©BOY 集英社
高校1年生の主人公・日々野晴矢は、世界征服の野望をもつ無敵の男。晴矢の下僕(友達)には画家志望の岡本清志朗。バンドマンの一条誠がいる。
彼らの日常に降りかかる、不良たちとの間で巻き起こるトラブルを描いたヤンキー漫画。学ランにリーゼントのような昭和ヤンキーに比べて、見た目は普通の学生など平成的な不良を描いている。
過激な喧嘩の描写も上手く、ヤンキー漫画でありバトル漫画でもある。
現実離れしたストーリであるがゆえに少年読者たちに響く
日々野晴矢(BOY)
当時の自分の年齢からしたらたまらないキャラ。ブレザーにバットやフライパン仕込もうとしたのは自分だけじゃないはず…
こういう、いればどうにかなる!ってキャラの安心感は凄い。 pic.twitter.com/GC9r6NJ240— リュー (@ChromeDevils) August 22, 2019
もし成人して読んでいたら、印象はまた変わったものになっていたと思う。とにかく現実離れした不良漫画で、例えば主人公の晴矢は背中にフライパンを隠し持って戦っていたり。
ドラえもんが道具を出すように、バットやフライパンを取り出し武器にするので、このお約束が楽しみになっていた。晴矢さえ出てくれば、悪者を倒してくれるわけなので。
晴矢もまた不良で、「自分は無敵である」という確固たる自信を示す。子供にとっては、この自信たっぷりの姿勢がたまらなく、「不良だけど悪に対するヒーロー」という構図がきっちりできているのだ。
下手に心理描写などを描かないので、話としては「強いものが勝つ」という分かりやすさが子供心に響いた。今読んでも、やはり晴矢という存在感はすごい。
普通に考えたらありえない無敵さだけど、子供は無敵とか最強とか不死身とか。非現実だけど憧れる部分があることを、作者はよく知っていると思う。
出てくる奴らがとにかく酷い
リアリティ不良作品ではないため、出てくる不良が度を超えて犯罪に走っているのもインパクトがあった(苦笑)
普通に警察沙汰になるような事件(傷害事件や女性暴行、ドラッグ)が起こるのだけど、これらを晴矢たち高校生が解決するという話だ。
もはや狂人と言っても過言ではないレベルの奴らが出てくるので、晴矢たちの追い込まれ方もすごい。間違えば命を落とすであろう展開もあるので、ハラハラが止まらないのだ。
今にして思えば、少年ジャンプという少年誌の最前線で描ける悪人としては、ボーイはトップクラスだったのではないか。そもそも「胸糞系」もジャンプじゃ少ないし。
展開的には晴矢の成敗が待っていることは分かりつつも、「こいつらを早くぶっ飛ばしてくれ」という思いを強く煽っていて素晴らしい。
〇〇編と言った具合に色んな悪人が出てくるのだけど、ボーイに関してはびっくりするほどマンネリストーリーがないのも良い。とにかく酷い奴らのオンパレードで、ラストまで私は満足していた。
連載終了はやっぱりショックだったな。
善良な人たちが被害者になってしまいやすい傾向も・・
晴矢を含め、基本的には不良VS不良の漫画なのだけど。喧嘩とは無縁の岡本や、ヒロイン・みちるなど善良な人が巻き込まれて被害者になってしまいやすいのは少し可哀想だった。
「悪いことをしてる奴らだから、相応のトラブルに巻き込まれても仕方ないよね」と思えない部分だ。若干のエロ描写も含まれるのだけど、一般女性が被害に遭っていたり。
悪人の凶暴性が強いほど、晴矢からの制裁が爽快となるので賛否はあると思うけれど。もっと酷い胸糞漫画は多くあるが、それでも覚悟はしておく方が良い。