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ピコピコ少年がおすすめの人
- 少年時代をファミコンと共に過ごした男性
- 90年代の小中学生(男)のアホらしさを見たい
- 押切蓮介先生の作品が好き
本作は90年代のファミコン熱に狂う男子を描いている。当時は私もファミコンに明け暮れた少年の一人で、「外で遊ぶなんて誰がやるものか」と思っていたほど。
今みたいにネットはなく、ツタヤなども無いので漫画を読みたいだけ読める時代でもなく。そんな子供に取ってのファミコンは、最高の娯楽として心をつかんで離さなかった。ありがたみが違いすぎるのだ。
作者の押切氏も同様に、ゲームに狂った一人。90年代のゲーマーたちは、みんな似たような生活を送っていたはず。さあ、おっさんたちよ。90年代に戻ってあの頃の思い出に浸ろう。
「ピコピコ少年」のストーリー
©ピコピコ少年 押切蓮介
押切蓮介氏の少年時代におけるゲーム生活を中心としたエッセイ漫画。ファミコンや格闘ゲームにハマったことなど、実話を元にしたエピソードを描いている。
主には80年代後半~90年代に起こったことを描いており、世代が重なる人には作者を通してノスタルジックな想いが蘇る。
ピコピコ少年(無印)を皮切りに、続編としてターボ、スーパー、EXと刊行された。どれも1巻完結になっていて読みやすい。
90年代のファミコン狂男子はみんな共感
ピコピコ少年見てたら、子供の時の気持ちが浮かび上がってきて、凄く懐かしい気持ちになった!
— なおみっくす (@Naomix_P) March 9, 2015
程度の差はあれど、90年代のファミコン狂たちには共感される内容。押切少年の狂いっぷりもすごく、何をするにもゲーム優先の生活を送っている。
親に怒られるなんて日常茶飯事。だけどゲームをしたいから、家から出ても秘密基地でゲームボーイをしてみたり。
当時はゲームは悪という風潮も強く、あまり遊びすぎると親たちがいい顔をしない時代だった。好きな物なら没頭しなさいなんて言われるはずもない。そんな時代だったからこそ、ゲームはより輝く。
特にファミコンなどは子供に取っての最高の娯楽である。今みたいに、ネットもないので、娯楽と言えばファミコンだった子供は多かったのだ。
そんなゲームに狂ったエピソードがたまらなく面白い。90年代にファミコンをやっていた人は、間違いなく楽しめる。
特に男の子。ゲーム+当時の小学生男子の思い出になっているので、アホらしいことや流行り物などを振り返る意味でも貴重な漫画。
思い出したらこっ恥ずかしい少年たちの「黒歴史」
子供の頃を振り返って、「今にして思えばバカなことをしていたな」という黒歴史の一つや二つなら誰にでもあるのではないだろうか?
もちろん作者の押切氏にも黒歴史が存在しており、出し惜しみすることなく描いている。特に笑ったのは、レジャー用のゴムボートで用水路を下る遊びだ。(ピコピコ少年スーパーに掲載)
「少年たちの冒険心」はやってみないと収まるものではない。多少危険、またおバカなことでもチャレンジしてしまうのが男なのだ。
実際、人に見られながらゴムボートで用水路を下るアホなことをやってのけた描写はシュールで笑った。私もかなり冒険ごっこして遊んだが、さすがに用水路を下る遊びはしたことがないので羨ましい。
ちなみに押切氏が用水路を下ったのは中2らしい。子供と大人の中間で、かなり恥ずかしい黒歴史だと思うが、よく描いてくれたと思う(笑)
触れられたくない問題に触れる自虐性
作者の押切氏は、スクエニ騒動という著作権問題で一時的にトラブルになった時期がある。その当時のことまで、自虐ネタ化し描いているのはさすがに笑った。
子供時代の黒歴史に続いて、いま現時点での問題もサービス精神でギャグに変えたのはさすがとしか言いようがない。停滞期を「糞袋」と表現し、脱却するエピソードには謎の勇気をもらった。(ピコピコ少年EX掲載)
作者自身、売れっ子の漫画家にも関わらず、自身をかっこよく見せようとしないところが良い。親友について描くシーンもあるが、友人を見下している話など笑ってしまう。
人間味が溢れているため、エッセイ漫画だけどギャグ漫画としても成立しているなと思わせる内容。実話ベースで語らせたら、押切氏ほど面白く描ける人は数えるほどしかいないだろう。
忘れているだけで、子供的なゲスさは誰しもが持っている。いつまでも忘れず、漫画にできる押切氏のピュアな心がたまらない至高の名作。