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めぞん一刻がおすすめの人
- 男女関係を昭和ならではの視点で読みたい
- ドロドロしそうなのに爽やかな作品が好き
- 心理描写が秀逸なラブコメを探している
「ラブコメ好きなら押さえておけ」と言われるほどの名作。と言っても、連載が始まったのは1980年。今さら読んでもその面白さは現代人に通用しないのでは?と思う人もいるだろう。
そこで今回は、「めぞん一刻」がなぜラブコメ漫画の最高傑作と呼び声高いのか。これについて、ネタばれを避けながら分析してみた。
先に私の考えを述べておくと、昭和だからこそ描かれた側面はありつつも、男女恋愛における普遍的なテーマを描いているのが大きい。今から40年も前にこれを完成させているのだからすごいのひと言。
「めぞん一刻」のストーリー
©めぞん一刻 高橋留美子
木造アパート「一刻館」は非常に古い建物。ここに、未亡人である音無響子が新しい管理人としてやってきた。一刻館の住人である五代裕作は、響子に一目惚れ。
以降、響子に好意を抱く五代と、亡くなった夫に操を立てる響子の関係をメインに描かれる。また、「一刻館の住人たち」や響子に好意を抱く五代のライバル・三鷹が登場するなどドタバタ展開も繰り広げられる。
真正面からぶつかり合う男女の恋物語
現代において男女がコミュニケーションを取ろうと思うと、まずはスマホや携帯といった手段が多いのではないだろうか。
少なくとも、男女が出会って交際に至るまで、毎日のように顔を合わせるのも学生くらいまで。それでも、連絡先を交換してちまちましたやり取りになりがちだ。
しかし響子と五代は同じ一刻館にいる。それ故に、良いときも悪いときも顔を合わせることになり、非常に密な関係性が構築されていく。これが本作のベースとなる設定で、非常に昭和的。
他住人も絡んでくるなど「ご近所付き合い」を超えた、人と人の真正面からのぶつかり合い。隣の住人すらわからない現代。一刻館を巡る舞台設定が、絶妙な男女の恋物語を生んでいることが面白さに繋がっている。
ドタバタコメディを引き締める名シーン・名台詞
本作の最大の魅力は、ドタバタコメディながら締める時は締める名シーン・セリフがあることだ。
クライマックスでのシーンは、アニメ・漫画の名シーン特集などで知っている方も多いはず。ちなみに、私は読む前からこの名シーンを知っていたが、読んでいて感動が薄れることはなかった。
響子と五代を中心に語られがちだが、他にも五代のライバル・三鷹や、一刻館の住人・六本木朱美など。読むとわかるが、読者の人生に影響を与えるほどの名言も出てくる。
これらがシリアスに描かれることで、普段のどんちゃん騒ぎに近い流れも、一気に引き締まると言うべきか。響子と五代のラブコメながら、その他のキャラクターにも見せ場を与えているのが良い。
少し長く感じてしまう中だるみも、生々しい心理描写への布石
めぞん一刻めっちゃ好きなんだよなー
ちょっと中だるみはするんだけどさいごの追い込み部分めっちゃ好きなんだよ— み (@daitai_hakooshi) December 15, 2017
めぞん一刻の面白さを語りつつも、物語の進行速度やテンポに中だるみを感じる部分もあった。これが理由で、最強ラブコメというより普通に面白いというのが私の評価。
例えば響子を取り合う五代と三鷹の三角関係。五代に好意を寄せる女子の登場による逆三角関係。ストーリーの盛り上げには必要だが「ほどほどで良いのでは」と思う私もいた。
ただし、このどっちつかずな展開が前フリとなり歴史的名シーンに繋がるのも事実。言うなれば、中だるみも五代や響子らの生々しい心理描写を見せるための布石。
このように考察していくと「ラブコメの最高傑作」と呼ばれるにふさわしい理由は誰にでも理解できるだろう。絵柄の好みや、展開速度との相性はありつつも、ハマる人にはたまらない作品なのも納得。