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銭がおすすめの人
- お金の話が好きな人
- 各種業界のお金の流れを知りたい人
- 業界ウラ話を取り扱う作品を探している人
各業界の収益システムは複雑で、専門家でないと不明な点も多い。そんなお金の流れを、漫画でわかりやすく説明しつつ、ストーリーに載せて発信したのが本作。
ドキュメンタリー、ジャーナリズム的な視点も合わせているため、マイナー作品ながら非常に面白い。儲けの構造など社会的な視点で見ることが可能で勉強になる。
仕事を題材にした漫画は多いが、お金の話にのみスポットを当てた作品は珍しい。7巻で完結しているが、もっと他の業界にも触れて欲しいと思ったほど。数話オムニバス形式なのが読みやすさに繋がっている。
「銭」のストーリー
©銭 エンターブレイン
中学生・チョキンは交通事故に遭ってしまい幽体離脱してしまう。
チョキンは幽体となるが、女性幽霊ジェニーと出会うことで、各業界を覗き見するようになった。お金の流れからウラ話までを知っていく事となる。
儲けのシステムを理解できる楽しさ
10年以上前の漫画だけど色んな業界のお金にまつわるネタが描かれた「銭(鈴木みそ著)」って漫画にもアダルト業界ネタ載ってたなあ
その当時ですらネットに押されて本やDVDは厳しい、購買層の高齢化云々って内容だった気が— てくてくは砕けない (@tectec_616) January 22, 2019
一般的に、表から見ているだけでは分かりにくい経営の仕組み。お金がどう流れるかという話なので、顧客に見えないようになっているのは当然と言えば当然だが。
何も知らないよりは知っておいたほうが良いし、知ることで各業界のサービス利用時に優位に立つことができる。何より、知識を求めている現代人にとっては良い刺激になる本作。
テーマがあるので各々の興味によって変わるだろうが、私の場合は漫画やアニメ業界。こういった趣味分野はもちろん、成人向け業界のウラ事情なども知れて良かった。
葬儀業界もちょうど祖父母が亡くなったタイミングで読んだのだけど、これから私の両親のことも考えると今後の勉強になったり。儲けるシステムの理解そのものが楽しい。
お金は誰もが興味を持つため、漫画にしてしまう着眼点が鈴木みそ氏らしくていい。実話ベースで描かせたら、基本的にいい作品の出来上がる漫画家さんの典型タイプだ。
ストーリーとキャラを上手く織り込んでいるのが良い
業界の解説だけなら、別にノンフィクション系の書籍でも十分知れるだろう。ただ、漫画という媒体に落とし込むためにストーリーを織り込んだのが良かった。
幽霊たちが働く人たちを俯瞰的に眺める構図があるため、客観的にひと一人の人間ドラマとしても読める。そして、ちょくちょく幽霊が人間たちに接触できるのも面白い仕組みだ。
外からでは見えない内の汚さ。同時に美しさに触れつつ楽しめる。オムニバス形式でストーリー展開されるが、良いキャラが多く応援したくなる人物も出てくる。
「銭」というタイトルだが、お金のために働いている人もいれば、仕事の中身に熱意を燃やしている人もいたり。なかなか気になるよう展開作りされていてよかった。
ラストもこの手の作品にしてはきっちり落とし所があり印象的。「もしお金のために働かなくていいなら何をしたいか」という問いかけ。
最後まで読んだ人ほど考えさせられるし、お金に対する考え方がきっと変わるはず。私も少なからず影響を受けており、本作を通して「銭」を学べた一人だ。
「この業界ってこうなってたの!?」と驚きたいなら、中学生以降をターゲットにどなたでも手にとってみると良い。コスパよく社会を学べること請け合い。