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岡崎に捧ぐがおすすめの人
- 1980年代に生まれた人
- 小学生時代が懐かしい人
- 友情がテーマの作品が読みたい
作者である山本さほ氏の、小学生時代からの「記憶」を呼び起こし漫画にした作品。主には80年代生まれのツボに入りやすい内容で、懐かしすぎてページをめくる手を止められない。
山本さほ氏の親友である、岡崎さんとの友情などを描いている。言われると思い出せるのだけど、本作のように事細かい当時の流行などを描いている漫画はとても少ない。
80年代生まれはみんな読め。そう言いたくなるくらい、80年代生まれには推奨したい物語。本作は少し読むだけで、なぜ大ヒットしたのかがすぐわかる。それくらい80年代生まれを惹き込むのだ。
「岡崎に捧ぐ」のストーリーと面白さの秘密
©岡崎に捧ぐ 山本さほ
山本さほ氏と、岡崎さんの幼少期から現代に至るまでの思い出を描いた自伝エッセイ。山本さほ氏が見てきた時代風景を漫画に取り入れており、当時の流行物などが懐かしい。
彼女ら二人がゲーム好きな子だったため、ゲーム生活を中心としたやり取りから岡崎さんと仲良くなることに。
本作は、もともと結婚することになった岡崎さんへの山本さほ氏からのプレゼント予定作品だった。ただnoteというプラットフォームに投稿するとあっという間に人気に。出版社から声がかかり、漫画としてスペリオール掲載が決まった。
もう類似作品でヒットを飛ばすことは不可能?
岡崎に捧ぐ、小さい頃の話をセピア色のフィルターかけて描かれるちびまるこちゃん的な漫画エッセイなんだけど、その手の漫画って今まで大抵昭和の話で、世代的にそれなりのズレを感じたのに、これはもうズバリ平成の話が殆どで凄いどんぴしゃというか、我々の子供時代ってもうセピア色なんだなみたいな
— コパトリン (@kopa329) August 11, 2014
岡崎に捧ぐが、80年代生まれに刺さる内容であることは上記で述べたとおりだ。作者の山本氏の記憶が頼りで、彼女がどう少女時代を過ごしたのか。これが鍵になる。
何となくだと「テレビゲームをしていたな」くらいで、その他の細かいシーンは浮かばないのだけど。しかし山本氏は、みんなやってたけど記憶からは遠ざかっていたものをどんどん描く。
「うわ~、あったあったwこれで遊んだの覚えてるわw」という当時の思い出がダイレクトに伝わってくる。実際に読んでこれは確認して欲しい。
岡崎さんとの関係を通し、小学生時代からの思い出を懐古していくため、自然な流れで漫画として出てくるのが面白い。
子供時代をネタにした作品は今後も出てくるだろうが、ここまでヒットするのはなかなか難しいようにも思う。
理由として、今の時代は何もかも記録としてネットに残るからだ。それに比べ、まだ山本さほ氏が子供だった80~90年代はネット文化もない。
つまり記録として残している人が少なく、思い出の宝箱にしまっていた内容だからこそヒットしたとも言える。そういう意味では、古き良き時代の作品だ。
順風満帆に進むわけではない人生
本作はノスタルジーに浸ることだけが面白い理由ではない。散々親友である岡崎さんとの関係を描きつつも、その関係が怪しくなる時期もある。
また山本さほ氏自身にも、人生における試練が重なるなど、しっかりとしたドラマあり。もちろん、実話なので作られた胡散臭さなどは皆無。一読者として共感できる内容だ。
山本氏がぶつかる壁は、大人になるに連れて描かれるのだけど、同世代を生きた身として響くものがあった。
彼女の挫折期に出てくる周囲の人間関係などもリアリティがある。厳しいことを言われるなど、順風満帆に生きられる人の方が少ない。
逆に言えば、この苦労時代を通した先に、物語の答えがあるので読んでのお楽しみ。
読後に考えた「親友」について(私的感想)
ここからは完全に私の話なのだけど。実は私は、あまり友達がいない。人付き合いが苦手で、ちょっとしたことで相手との関係を面倒に思ったり。
私自身がオタク気質で、みんなでというより一人で遊ぶのが好きなのもあったのだろう。そのため、山本&岡崎のような親友と呼べる関係性が羨ましく思う。
もちろん、全く友達がいないわけではないが、子供の頃から繋がりがあって、今でも気兼ねなしに関われるような。そんな関係に、羨ましさを感じたのも事実だ。
大人になるに連れ、環境が変わり周りの人間も変わっていく。そういった日常の中に、変わらない関係性があることを本作では強く描かれている。
誰もが子供の頃からの親友を持つわけではないため、より彼女らの関係性に憧れる読者も出てくるだろう。