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コウノドリがおすすめの人
- 子供が欲しい男性読者(もちろん女性もOK)
- 出産や育児を理解したい
- 産科医療の現場を知りたい
漫画は娯楽として、現実離れしたことを体験させてくれる素晴らしいコンテンツだ。実際、その体験が楽しくて私は今まで漫画を読んできた。
しかし、漫画というツールを使って、社会にこれだけ大きなメッセージを投げかけられる実用的な漫画はなかなかお目にかかれなかった。
その点でコウノドリは、命について考えさせられ、男性としてどう出産・育児に向き合うべきかを考えさせられる内容であった。これだけの作品を世に送り出した、作者とスタッフに拍手を贈りたい。
「コウノドリ」のストーリー
©コウノドリ 講談社
主人公は・鴻鳥サクラという産科医師。医療機関である「聖ペルソナ総合医療センター」に勤務しており、日々やってくる妊婦や家族、また医療スタッフたちとの日常を描く。
実際に作者が取材を行っており、現実に起こっていることをベースとして物語を描いている。そのため、何もかもハッピーで終わらないこともあるリアリティが良い。
一般的な知識としては広がっていない内容も多く、分かりやすい解説とともに読むことができる。基本的に一つのエピソードを1巻。長くても2巻にまたぎ完結させるので読みやすい。
子供が欲しい男性読者は必須の教科書
こんな時間にコウノドリ読んで号泣。
個人的には義務教育で読ませるべき漫画だと思うのよねー。
命の尊さ、妊娠出産の大変さ、無事に生きることが奇跡なんだと思えることってすごく大切じゃない?
そんな中さっき嫁さん起きて来て『ゲームやり過ぎなあなたと別れる夢見た』と言われガクブルですわ!— コンパス西本 (@compasskn) September 8, 2019
私はまだ結婚すらしていない独身男性なのだけど、子供が欲しいと少しでも思う男性なら読んでおくべき漫画だと思った。女性が読んでももちろん面白いが、男性が学ぶ部分は多い。
女性の妊娠前の不安から、妊娠期。出産後とあらゆる場面に対するフォローの必要性が描かれている。「子育ては女性の仕事」という認識を改めさせられる強いメッセージが入ることも作中にはある。
実際、男女平等社会と言われつつも、男性は仕事。女性は家事・育児という認識がまだまだ残る現代。リアルな女性の心情を、男性が理解しようと思うとしんどい部分もあるだろう。
漫画では、あまり知られていないお産事情を通して、子供が生まれてくるまでの話を描いている。女性は何となく知っていても、男性はお産できないので意識的に学ぶことがない。
そういった点で考えると、自然と漫画を通して理解ができるようになるのは素晴らしい。
出産や育児とはどんなものなのかがわかる
漫画でわかるものか!と出産&子育てをした女性に言われそうだけど(汗)それでも、全く予備知識として持っていないよりは、読んでおいたほうがためになることが多い。
特に産科医療の現場で起こる事例を上げるからこそ、よりリアリティを感じながら読めるのだ。「出産前にこんな状態になるなんて知らなかった」というケースがいくつも出てくる。
「女性が妊娠すると、普通に生むだけ」という認識しかないと、ある意味でびっくりすることもあるだろう。
当たり前のようで当たり前じゃない。それが妊娠であり出産なのだ。子供ができることで、夫婦関係がギスギスし始めるなど、何もかも幸せというストーリーにしないことも、よりメッセージとして伝わってくる。
出産、育児に置ける問題は些細なことにされがちだったが、この些細なことを上手く表現しているのが本作の魅力。
登場人物の心理描写が秀逸で泣ける
ちなみに、泣ける漫画としてもおすすめ。命の誕生を描いているので、想定の範囲内になると言えばそうなのだけど。幸せに泣くこともあれば、辛い悲しみで泣くなどキャラ心情が伝わってくる。
出産を巡って時には絶望したり、ショックを受けてどうにもならない夫婦や家族が出たり。医療スタッフも挫折したりと、悔しい思いをする人も出てくる。
こういった「人がぶつかる壁」を、コウノドリは見事に描き切った。「うっ」と涙が溢れるシーンでは、もらい泣きというか。私は毎回泣いてしまう(涙)
人の気持ちに寄り添い続けた証拠。ベストエピソードと言われても、ぱっと浮かばないくらい名シーンだらけ。いわゆるマンネリすることもなく、終始引き締まった作品。