こち亀読んでるんだけど、Windows95ってそんな凄まじい社会現象だったんだなぁ。3話続けてパソコン回だ。
— めそ (@s_meso) September 14, 2020
この記事がおすすめの人
- パソコンやネット普及が始まった当時の雰囲気が知りたい人
- わかりやすいパソコンやネットの解説漫画が読みたい人
- ウインドウズ95前後の社会現象が懐かしい人
当たり前のようにネットに繋がる現代。パソコンは普及し、今では子供でさえスマホを持っている。そんなパソコンやネットの歴史が気になったので、こち亀を通して振り返ってみた。
こち亀と言えば、ニッチジャンルの取材力も高い名作。こち亀における「パソコン」「インターネット」を主題に扱った回を見ると、当時のことも見えてくる。
パソコンやインターネット普及が始まった、当時の雰囲気を知りたい方に、実際に読んでみた感想をまとめてみた。私がパソコン好きというだけなので、どれくらい需要があるかはわからないが・・。
こち亀における「パソコン/インターネット回」の一覧まとめ
パソコン回一覧
- 86巻-7 パソコン・モンタージュ!の巻
- 98巻-7 両さんのパソコン講座の巻
- 98巻-8 インターネット駄菓子屋の巻
- 98巻-9 ハイテク世代V.S.オヤジ世代!!の巻
- 100巻-1 インターネットで逢いましょうの巻
- 101巻-1 両さんのパソコンツアーの巻
- 109巻-8 シルバーインターネットの巻
- 124巻-2 チャットで人生勉強!の巻
タイトルだけでは探しにくいので、巻数と何話目かのみ一覧でまとめておく。
ちょうどウインドウズ95の社会現象が起こった当時(100巻前後)で大きく触れられている。みんなに認知されてからではネタにならないこともあってか、普及後はパソコン編もトーンダウンしていった。
ネットに絡めた商売を両さんを通して描いているなど、秋本治氏の先見性もすごい。仮に漫画家として仕事をしていなくとも、他分野で成功していたはず。
86巻-7 パソコン・モンタージュ!の巻
©秋本治 集英社
ついに両さんの勤務する派出所にもパソコンが導入されることになった。地理案内ソフトや、指名手配犯の照会など仕事の利便性が上がる。
中にはモンタージュを作成できるソフトも入っており、さっそく使ってみる両さん。大原部長の顔を使ってあれこれ遊び始めてしまう。
顔写真の合成やモンタージュ作成など、専門職ではなくいち個人が遊びで使えることへの感動が伝わってくる。
私もモンタージュではないが、「ペイント」で絵をかけたことに感動した思い出がある。中学の技術の時間だったが、他のクラスメートもペイントに夢中だった(笑)
今やスマホも登場し、加工アプリを使えば作業せずとも変化させることができる時代。顔をいじって遊ぶことは、どの世代にも共通して楽しめるようだ。
98巻-7 両さんのパソコン講座の巻
©秋本治 集英社
話題になっているパソコンが気になる大原部長。「OS」の意味がわからないことから混乱してしまう。そこで派出所内で、基本的なパソコン講座を受けることに。
当たり前に使える中川の説明では複雑過ぎたため、両さんから教わることになった部長。「園児並」と馬鹿にされながらも、両さんの的確なオヤジ目線でパソコンの初歩について解説が始まる。
これはとても時代を感じる話。大原部長の言動が、何から何までパソコンを知らないおじさんを象徴している。シュールにボケているようで、実際に起こっている話でもある。若者は笑うだろうけどw
「パソコンのことが全くわからない人」として部長を描くだけでギャグが成立しており、95年前後にやってきたパソコンがどれだけ社会に影響を与えたかがよくわかる。
両さんが、「パソコンは横文字だらけだから分かりにくい」という趣旨の指摘をするがまさにその通り。新しい物を学ぶのに、いきなり専門用語ばかりでは挫折するんだよなと共感。
98巻-8 インターネット駄菓子屋の巻
©秋本治 集英社
駄菓子屋のおばさんは、商店街の抽選でパソコンを当てるも、扱い方がわからず放置していた。そこで両さんはインターネットの使い方をレクチャーすべく、パソコンを代わりに立ち上げる。
そしていつもの様にお金を意識し、駄菓子を世界へネット販売することになる。駄菓子の販売が上手く行き始めたところで、両さんはさらなる商売(パソコン販売)を思いつく。
「駄菓子屋」がテーマかなと思いきや、お年寄りを含む、初心者が使いやすいパソコンを作るテーマも含んだ。このパソコンが本当に昭和的というか、操作方法がこち亀らしくて面白い(苦笑)
またネット通販ショップの先駆けとも言える内容を取り入れており、この頃はまだアマゾンも楽天もなかったのでより珍しく思われたはず。両さんの商才が、すでに未来を見据えているのがすごい。
それにしても、秋元治氏は人気漫画を連載しつつ、これだけの内容を描けるのが何より衝撃。もともとの興味も後押ししているだろうが、好奇心を漫画に反映させる上手さに敬服。
98巻-9 ハイテク世代V.S.オヤジ世代!!の巻
©秋本治 集英社
葛飾署内で行われているパソコン講座。若い世代に比べて、オヤジ世代は理解が追いつかず困っているところに両さんが登場。オヤジ世代を小馬鹿にして怒らせてしまう。
「パソコンなど分からなくてもいい」と主張するオヤジ世代に対し、「これからはパソコンの時代」と熱く説く両さん。署内でハイテク世代とオヤジ世代の二分化を起こすことに・・。
当時のオヤジ世代の「パソコンアレルギー」っぷりを描いているが、当然のことのようにも思う。この時代のオヤジ世代は、機械に触れるケースが極端になかった世代。
ファミコンなど幼い頃からゲーム機に触れる訳でもなく、アナログ時代を生きた最後の世代とも言える。ちなみに、私の両親もかなりパソコンは手こずっていた。というか、今も苦手意識が強い(苦笑)
両さんがパソコンに熱くなっている理由に「パソコンを知っている者の優越感に浸りたい」というマウンティング願望がある。両さんだけだが、オタク勢の反逆的な回でもあって面白かった。
100巻-1 インターネットで逢いましょうの巻
©秋本治 集英社
電極+(プラス)が通う小学校を訪れた両さん。小学生らが、一人1台のパソコンで授業を行っているなど、最新デジタルシステムを取り入れていることに驚愕。
また、葛飾署のインターネット接続やホームページ作成に、プラスが技術的協力を行う。インターネットにまつわる基本知識や、黎明期の雰囲気が伝わってくる。
しかし葛飾署のホームページは、羅列された文字が掲載されたのみでアクセスがない。そこでアクセスを集めるため両さんが一肌脱ぐが、とんでもないことになっていく展開に笑った。
連載時は中学1~2年くらいだった私だが、コミックで読み返すまでこういったテーマが取り上げられていたことも忘れていた。96年くらいなので、ネットの概念もなかったと思う(苦笑)
実際、私がネットに繋いで遊んだのは99年のドリームキャストが最初だったので。「ネットに繋がる」という感覚が、どれくらい斬新なことだったかが分かる。
101巻-1 両さんのパソコンツアーの巻
©秋本治 集英社
パソコンセミナーが盛んに行われていた時代の話。宣伝も兼ねてセミナーで使ったPCを、そのまま受講者に売っていたことに両さんは目をつける。
ターゲットは、若者の知識にについていけずセミナーにやってくるおじさんユーザー。おじさんウケの良さそうなセミナーを企画し、旧型のパソコンを売ったりと儲けを働く。
ウインドウズ95前後の話で、両さんも必死にパソコンを覚えた話がある。本屋で立ち読みしたり、家電屋の展示品で勉強したり。迷惑客だけど、両さんらしさが出ていて面白かった(笑)
まだ一般普及していない時代の雰囲気が伝わってくるところが良い。フロッピーディスクなど、懐かしい記憶媒体が出てきて感動する。私には「意味わからないけど授業で使った」という思い出しかないけど・・。
109巻-8 シルバーインターネットの巻
©秋本治 集英社
「3万円でパソコンが欲しい」という両さんの父を始めとした高齢者のために、両さんが自作パソコンを組んで行く話。署内のハイスペックPCや、他所の廃棄品などからパーツを集めて作るなど両さんらしいやり方。
高齢者のパソコン使用目的は、海外エロサイト閲覧。また、ネット通販におけるキャッシュカード利用の危険性なども含めて解説されている。
メインとなっているのは、パソコン内部のパーツについて。自作するために必要なパーツを、細かく分けて解説。私自身も、自作パソコンを作るが当時でこの内容を漫画にしているのは素直にすごい。
時代を感じたのは、やはりパソコンのスペックである。内容がコアなネタなので、ここは読んで頂いた方が早い。「こんな低スペックで、パソコンが動くのか!?」と思うほど(苦笑)
中川から動作が遅いことを指摘される両さんだが、「老人は遅いくらいの方がいいんだよ」と軽くあしらうことに笑ってしまった。そう言われてみると、昔のパソコンは待つのが当たり前だったと思い返す。
124巻-2 チャットで人生勉強!の巻
©秋本治 集英社
美少女ゲームにハマってばかりの左近寺が、ゲームではなくチャットで女性に話すよう両さんに促される。そんな左近寺がチャットを始めると女性と出会うことに。
男性が女性になりすますケースも多いことから「女性が来るわけがない」と左近寺を止める両さん。しかし、デートに行ってみると美女が。両さんもネットで美女と出会えると思いチャットを頑張るようになる。
左近寺や両さんの気持ちは、男性なら分かるだろう。2000年代前半くらいは、今のように動画や画像をポンポン人に見せることがなかった時代。性別は自己申告されたものを信じるのみ。
そういう意味では、両さんの感覚が普通であり正しい。女性と名乗るユーザーがいたとしても、真っ先にいたずらを疑う方が自然だった。なので、美女が現れるなんてありえなくて。
顔写真も見せない時代なので、男女どちらも素敵な異性が相手だと思ってオフ会してみたらがっくり・・なんてこともよくあった。実際に私も、ガッカリ経験をしている(笑)