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正直不動産がおすすめの人
- 家の売買予定がある人
- 不動産業界に疎い
- 一気読みできる作品を探している
不動産に関する知識は、専門家でないとわからないことが多い。あまりにも複雑なルールが存在しすぎて、よっぽど当事者にでもならない限り頭に入ってこない。当事者でもきついけど(笑)
そんな不動産業界を描いたのが本作。全く不動産に詳しくないシロートが読み始めても、漫画を通して理解できるため分かりやすい。また、勉強っぽくならないよう、漫画ならではのストーリー性も持たせている。
家の売買を予定している人、引っ越し予定の人、今すぐではなくとも長い人生には必ず出てくると言ってもいいイベントだ。そのため一読の価値はある。知識を深めるためにも、まずは手にとってみて欲しい。
「正直不動産」のストーリーと面白いポイント3つ
©正直不動産 小学館
主人公で不動産営業マン・永瀬財地は、とある事をきっかけに「嘘がつけない体質」となってしまう。「千の言葉のうち真実は3つしかない」と意味で、千三つと呼ばれる不動産業界。
嘘をつかず、隠しておきたい業界の裏もしゃべるようになった永瀬が、どのように不動産営業という仕事を行っていくかを描いた作品。
ユーザーと業者の情報格差を、ジャーナリズムも含めて切り込んでいるため、実用書としても読める優れた作品。一気読みしたくなる作品としても強いのでおすすめしておく。
不動産業界に疎い人に親切
正直不動産よい。去年当事者だったけど、住宅や契約に関する情報量に圧倒されて、常人は考えるのをやめて営業の言いなりにならざるをえない根本的な情報の非対称性を感じました。
— mosa / 榎本 (@mosa_siru) April 28, 2020
永瀬には新入社員の部下・月下咲良がいる。彼女を一人おいたことで、業界に詳しくない素人読者たちの目線をしっかり確保。彼女が読者視点で、あれこれ質問してくれるのだ。
家の売買にせよ、賃貸にせよ。不動産業界はブラックボックスで出来ており、ネットが普及した今でもわからない話がある。この情報の非対称性によって騙されたり、損することにも繋がる。
業界に疎い私のような人間も、本作を読む中で勉強になることが多くある。毎話読むほどにその知見が広がるので、純粋に面白いし嬉しい。
ちなみに、情報全てが正しいのかは私も専門家ではないので不明だ。ただ、不動産業界は営利目的で運営されている以上、そこに知識があるに越したことはない。
不動産会社と関わる際に、あまりにも美味しい話があったら、本作を読んで裏がないか考えるべきだ。
不動産業界の裏側がバラされていく
「これを書いたら都合が悪いのでは?」という部分もあるが、制作陣のジャーナリズム精神が入ってのことだろう。あれこれ書きすぎると、さすがに業界関係者には嫌がられるであろうことが想像できた。
しかし、本作はそういった業界の目を気にせず、とにかく不動産屋を悪い感じに書いている。営業マンが平気で顧客を騙す描写など、淡々と描かれているのだ。
実は私の両親も、新築購入した時に、トラブルがあった。よくよく考えれば、不動産屋を信じ切るのが危なかったのは、本作を見ればよく分かる。
「裏側はこうなんだ」と知っておければ、防げたトラブルなのかもしれないなと。そう思うと、暴露されていく度にスッキリする気持ちもどこかにある。
もちろん、不動産業界全てが悪いことをしているわけではないのだが。「利益獲得のためなら、こういうことを裏側でやってるやつもいますよ」という注意喚起として受け止めるべきだろう。
不動産営業におけるライバル企業や内輪のストーリーも面白い
不動産関係の漫画だが、ちゃんと人間同士の間で起こるストーリーにも面白みがある。ライバル会社との競り合いや、営業マン同士での売上争いなど、これぞ営業の世界。
実際にあった不動産事件なども作中に入れているため、二重三重に興味を抱かせる進行なのもありがたい。
そこで永瀬という正直なことしか言えない営業マンが、どのように立ち回っていくのか。この展開で回していくため、漫画ファンとしてもしっかり楽しめる。
数話で1つの話を完結させるスタイルのため、物語も引き締まって良い。正直不動産を皮切りに、色んな業界のウラをどんどん見せてくれる漫画が出てきて欲しい。