“共存”か”弱肉強食”か『東京喰種トーキョーグール』に学ぶ食物連鎖

人肉を喰うことで生きる事のできる怪人「喰種(グール)」をテーマに描かれた作品。彼らは見た目だけでは判断のつかない普通の人間の姿をしている。

主人公・カネキはリゼという少女が喰種と知らないままデートをすることになった。その最中、カネキは彼女に襲われ瀕死の事態に陥る。しかし、そんなカネキを襲うリゼに鉄骨が落ちてくる事故が起こり助かった。しかし、瀕死だったカネキを救う手段は死んだばかりのリゼの臓器移植が必要となってしまう。

手術でカネキは一命を取りとめたが、移植による影響か「喰種の特徴」とも言える変化が起こり始める。ホラー要素が無いと言えば嘘になるが、おおまかにはダークファンタジー系統の作品。バトルアクションも見応えがあり、様々な戦闘術が繰り広げられる。

弱肉強食の世界観

「グールは人を喰う」という理由で、人間からはターゲットにされているのだけど、カネキが人間とグールの両面を持った事でお互いの立ち位置を考えさせられながら読み進める事になった

グールという存在は確かに人を喰い殺してしまう。その行為は決して許される物では無いだろう。その結果、人間たちはグールを目の敵にするのだけど、カネキと同じく読者はここで考える必要がある。

「人間が喰われるから、グールが悪い」というのは短絡的な発想で、例えば動物たちは言葉を発さないだけで、これまでずっと人間に食べられてきた。動物の肉は、人間にとって古来より続く伝統の食材だ。もし動物が高い知能を持ち、人間に反発する術を持っていたら、美味しい肉を食べる事が困難だったであろう

それでも人間は動物を食べる必要がある。変わりになる食べ物がある話はこの場では置いておいて・・。

動物を食べる人間が食の連鎖の中にいるならば、漫画といえど人間を食べる喰種もまた食の連鎖に潜んでいるだけなのである。カネキはどちらの言い分も分かって、どうにかしなければと思うのだけど無理も無い話だろう。

私が人間としての立場なら喰種を退治すべきだと思うし、喰種なら人間を喰ってしまえと思うだろう。人間も喰種も”生きる為”にしのぎを削っているのだから仕方が無い。弱肉強食の中に生きる世界は、漫画から飛び出してこそ平然とある自然の摂理だ

どちらの気持ちも理解しながら考えてみると、生き物を食べるというのは尊い事なのだと感謝の気持ちも出てくる不思議な作品だ。人を喰いたくても耐えるカネキの姿が全てを物語っていた。

こんな人にオススメ

人間VS喰種のバトルシーンは必見。ストーリー、シナリオの組み立てはもちろん良いのだけど、戦闘も王道を進んでいて見応え抜群。台詞回しもリアルさを持たせていて、生存をかけた両者の主張が激しくぶつかるなどカットカットが素晴らしい。喰う喰われるというテーマだけど、そこに至るまでの過程は見入ってしまう。

あとは、「ハズレ」を引きたくない人向け。私も人に漫画を色々と勧めるが、王道系だけは気を使わずに教えられる。「しっかりとしたストーリー」×「クセの薄い絵画」×「迫力あるバトル」が混ざってつまらない訳が無い。

気になるところがあるとすれば、グロ込みでメンタル面へのダメージ。

喰種は人間の食べ物が口に合わない設定だが、その表現法が気持ち悪いので注意が必要。読者まで本当に嫌なモノを食べているような気にさせるのは、作者の表現力がリアルかつ生々しいという証拠だ。第1部は全14巻あるが、最初の1巻で十分にダークな世界観に浸れる。もう後には引き返せない。

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