『ちひろ』がなぜ人気ナンバー1風俗嬢なのかは読めばわかるよ

ストーリー、ジャンル

主人公・ちひろは風俗店の人気ナンバー1嬢として働いていた。美しいルックスは元より、誰に対しても手を抜かないサービス精神、また男性に取っての癒しを兼ね備えている彼女の元に男性たちは通う。好きな時に関係を持って、好きな時に甘えられるちひろは男性たちにとってはまさに理想の女性だった。

本作はそんなちひろの風俗嬢としての生き様を描き、彼女の周辺にいる人物との人間模様が色濃く表現されている。1人の女性として、仕事のプロとして彼女は何を考え、何を求めて生きるのか。ちひろ自身が表現する世界観は、どこか表舞台に出ない「薄暗さ」を醸し出しているが裏社会で輝く女性像を象徴しているようにも見える。

風俗が舞台であり、生々しい描写があるものの失礼ながらエロ視点で見た時にはそこまでイヤラシイと思えない。絵柄の影響もあるのだろう。女性向け雑誌エレガンスイブで連載されたが、男女どちらも楽しめる作品。むしろ男性向けだと思える風俗漫画

ミステリアスガール「ちひろ」に男性が惹かれる理由

平成19年に発売されたにも関わらず、アマゾンマーケットの中古価格が660円(10月31日現在)と価値が下がらない。新品で購入する事も可能で、普通に流通して中古価値も下がって行きそうに思うのだが・・。そんな風に思っていたが、読後すべてを理解した。本作は、購入したが最後。手放すに手放せない名作だったのだ

おそらく男性読者が購入し、保管しているのだろう。私はレンタルで借りて読んだが、なるほど納得の出来栄えに感動を覚えた。ちひろという女性は、生々しいくらいに風俗嬢として描かれていながらも、リアルでは決してお目にかかれない理想の女性像でもあったのだ。

「こんな風俗嬢がいたらいいな」の”いいな”に近い女性はいても完璧は無い。しかしちひろには”完璧を求められるだけの条件”が整っている。ノスタルジーの漂う空間の中に存在する彼女は何者なのかと好奇心をそそられる。まさにミステリアスガール。

多くの男性が風俗で働く女性に対して抱く気持ちは”それ目的”の気持ちしか無い。しかし彼女に抱く気持ちはそうではない。「知りたい」とか「話したい」とか、ちひろという1人の人間に関心を持ってしまう。彼女が作中で語る事、想う事、感じる事は果てしなく深く難しい。しかし、それでも男はちひろが知りたくなる。

レビューらしいレビューにならないが、それだけ彼女を表現するのに困ったような気がした。ちひろの接客中はもちろん、職場の人間とのやり取り、完全オフの場での会話などどこを見ても独特な印象を受けてしまう。安田弘之氏の力作だ。

漫画保存・コレクター向きの「ちひろ」は買う方向でオススメ

「レンタルせずに購入すれば良かった」と後悔したので伝えておく。独特の世界観でストーリーを牽引するちひろなのだけど、1度読み終えてもまた読みたくなる中毒性がある。漫画コレクターは間違いなく買いで損はしない。

1人の人間を追うドラマが好きな方もぜひ。多少のエロシーンに目をつぶれるならという条件はあるものの、ちひろが生きた時間を共有できるのは何にも代えがたい物がある。こういった表に出て来ない仕事をしている人々の感覚は独特なのものがあるのだろう。まるで全てを見据えたような、ちひろの視線は今も頭に残り続けている

夜の世界で働いていたり、興味を持っているという女性にもオススメしておく。上下2巻で終わるのもサクッと読めてお手ごろだ。

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