このメタ視点ラブストーリーを解釈する難しさ『ストロボライト』

ストーリー、ジャンル

夜行列車で小説を書いているのは、主人公・浜崎正。小説の内容は、大学時代に出会ったヒロイン・町田ミカとの恋愛ストーリー。浜崎はミカと出会った際に、彼女が映画「Q9」のヒロイン・桐島すみれとそっくりな事に気がつく。夜行列車で小説を書く浜崎は、ミカとの出会いを回想しながら物語りを語る。

浜崎は回想の途中で過去と現実を移動するため混乱を起こす場面もあるが、そもそも作品そのものがメタ視点で描かれているため読者側も混乱させられる事になる。しかし混乱も含めた流れは面白く、少しSFチックな雰囲気さえ感じさせる。小刻みに動く時間軸との兼ね合いで小難しいと言えば小難しい作品

しかし作品そのものに漂うノスタルジックな雰囲気が素晴らしく、浜崎とミカの間に生まれた恋模様は「恋しさ」や「憧れ」を思い出させる物がある。短編作品の恋愛漫画としては一級品のストーリー。

誰の視点で読み進めるかで、景色が変わる恋愛小説のような作品

初めて手にしたのは立ち読みをしている時だった。表紙を見て頂くと分かるが、とても可愛い女性が顔をのぞかせている。ヒトメボレしてしまった。私は漫画好きであっても、二次元女性に関心は少ない方だ。しかし、ここではあえて言っておこう。町田ミカは俺の嫁!結局忘れられず、後日購入に踏み切った作品。

肝心の作品だが、浜崎とミカの出会いから交際、別れまでが描かれている。端的に紹介しているのは、本作の核となる部分は恋愛シーンだけに止まらないからだ。メタ視点を用いた作りをしている本作は、どうにも解釈できない部分がある。本作を語る事そのものがネタばれを含んでいたり、ネタばれさせたつもりが実は違っているかもしれないし。

「何を言っているんだ!?」と思われたらそれまでだが、それだけ作中は独自の解釈を入れる事が出来る要素があるという事。浜崎の物語りなのか、町田ミカの物語りなのか、それとも浜崎に恋する美和子という第三者の位置から見た物語りなのか。現実世界で起こった事なのかも正直なところ解釈次第では怪しくなる

難しい話はここまでにして、作中の恋愛の話をしている方が面白さを伝えられそうなので話しておこう。冒頭で話した、俺の嫁である”町田ミカ”はもちろん素敵で可愛い性格の美しい女性なのだけど、浜崎の事が好きな美和子という女の子も素晴らしい。浜崎の事を思い、彼と彼の小説を心配してくれていた。

「男がダメにならないように支えるオンナ」的な位置取りで、浜崎と町田の恋愛を見守っていたのも何だか切ない。彼女もそれを承知で我慢して心配してるんだけど。「ハードボイルドはきっついぜ」と独り言をいってたけど確かにキツイな。

ミカも男を支える言葉を放ってくれるし、全体的にこの作品の女子は男に優しい。

“ややこしい”ストーリー故に、2回以上読める人に向けてオススメ

「ネタばれ」が出来そうで出来ない本作。「個々の中に、ストーリー上の人物がどのようにラストで残るか」という考え方をして読んでみて欲しい。「さあ、あなたの中で残った人物は誰?」と聞かれた時に、この作品の主軸が決まるような勢いだ。

時間軸の同時進行や、メタフィクションなどとも呼ばれる小難しい表現を解釈しながら読むのが好きな人には良い作品。

「誰が最終的に幸せなのか」という視点で読みなおすのも楽しかったりするが、読み直すほどまた見えてくる視点が出来てしまう複雑性が存在する。謎が解消されたようで残ってしまうこのニュアンスを共有したい

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