夜の世界へのスカウト漫画と言えば本作1強『新宿スワン~歌舞伎町スカウトサバイバル~』

ストーリー、ジャンル

主人公・白鳥龍彦(タツヒコ)はパチンコに負けて無一文になりかけていた。そんなタツヒコは、歌舞伎町でチンピラに絡まれ乱闘騒ぎを起こすが真虎に救われる。真虎はスカウト会社バーストの幹部で、タツヒコをスカウトマンとして育てたいと誘った。

このスカウト会社は何かというと、女性を「水商売」「風俗」「AV」などの世界に案内するという物。スカウトに当たって起こるトラブルはもちろん、裏社会の実態としてヤクザとの繋がりなども描いており暴力や抗争のシーンも描かれている。

作者の和久井氏が、かつてスカウトマンをしていたころに体験した事をフィクションも交えつつ描いた裏社会ビジネス作品。

「幸せ」か「不幸」かは他者が決める事では無い

具体的にスカウト業界の裏側を描いているので、時には精神的に凹まされるし読んでいて辛くなる事もある。借金や生活に困って夜の世界に女の子がやってくるのだけど、取り仕切っているスカウトたちや、店のスタッフの対応がすごく雑だったりするので怖い。女性を物のように扱うシーンなどは心が痛む。

そんな女性たちが不幸そうに見えるのだけど、タツヒコは視点を変えて女の子と接する。彼は「彼女らを幸せにする」と本気で思っている。どこか世間は常識を振りかざし、夜の世界で働く人を不幸と決めつけている風潮がある。しかしタツヒコは「働いている彼女たちが、幸せか不幸かは本人にしか分からない」という考えの元にスカウトをする。

傍から見たら大変そうでも、その道を選んで幸せに生きている人が存在するのは、何も夜の仕事に限った話ではないだろう。これは、私自身が「風俗に偏見を持っていない」と思いながらも、実はそういう目で見ていたかもしれないという事を表していた。

タツヒコは純粋で、ただただ人のために行動する。裏社会モノで極悪人がどんどん登場するが、救いがあるのはタツヒコのピュアな心があるおかげだと言える

こんな人にオススメ

当然だが裏社会を描いているので、抗争や裏切りなどのストーリーはかなり盛り込まれている。スカウト会社同士が揉めて潰し合いをしたり、ケツモチであるヤクザの登場などヤバイ世界を如実に表現しつつ展開を面白くしている。言うまでも無いが、ヤクザ・アウトローが好きな人は間違いなく楽しめる作品

個性の強い男たちというのも見どころになっている。私は特に関玄介のファン。最初はタツヒコを騙すなど、いけすかない野郎というイメージだったがウィザード編での彼の姿を見ると評価が変わった。

「義理人情」など任侠ものにつきものだけど、間違い無く彼もそういった類の人間だった。根っこは悪いかもしれないけど、嫌いになれないなと。

長編作にありがちだけど、最初の頃の絵はあまり上手いとは言えない。しかし、どんどん絵に迫力が出てくる。今でこそ画力に定評のある和久井氏だが、原点からの成長を見れているようでそれも楽しみの一つとなるだろう

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