“錯覚”を狙った特殊戦闘が素晴らしい『セキセイインコ』

ストーリー、ジャンル

記憶喪失の状態にある主人公・金田七。彼には自分にしか見えない記憶の化身”メモリー”の存在に動揺するところから物語は展開されていく。時を同じくして七が記憶を失った事と関係があるのか、謎の死を遂げたクラスメート・島日輪子の存在。

七は記憶喪失に苦しむが、記憶と島日輪子が関係しているかもしれないと彼女の死の真相を追い解決を目指す。そんな七の前に次々と刺客が現れ”バグ”と呼ばれる特殊能力を用いた戦闘を繰り広げて行く。果たして七の記憶の真相に辿りつけるのか。

ジャンルは、ミステリー・サスペンス。作者の和久井健氏といえば人同士の戦いに定評があるが、そういった部分も上手く織り交ぜており従来の和久井ファンも楽しめる。

魔人メモリーの存在感

和久井氏の絵が上手い事は知られている事だが、特にその上手さを発揮させているのは”魔人メモリー”の存在だろう。本作のストーリーでは、七の記憶が全ての謎を握っているという前提で進むが、この七の記憶を保存しているのが、メモリーというわけである。もちろんメモリーにも、七の記憶の事はわからない。ただ保管しているだけの存在だ。

それにしてもメモリーという存在感は”圧倒”のひと言。様々な場面で七を救うが、その風貌が何とも言えない。おそらく一度目にしたら焼きついてしまう程のインパクトだ。

本作の肝にもなっている特殊能力”バグ”のシステムも斬新。人間には五感が存在するが、それらをフルに活かした戦闘を行う。「錯覚を起こさせる」と言えばいいだろうか。例えば、身体を斬られるシーンがあるがそれらの全ては「錯覚」によるもの。実際には何も起こっていない。

人は脳に情報が集まるが、「錯覚」という思い込みによってメンタルが破壊されるなど設定が整っていた。また、強力な特殊能力であるがゆえに起こる、バグ使用者への副作用なども用意してあるところもしっかり練られていると言えよう。

こんな人にオススメ

ストーリーは複雑に感じる人もいるだろう。”メモリー”の事や”バグ”という特殊能力は理解しやすいが、七を狙う組織の話や満州編など過去の話も加わって来る。伏線などが散りばめられており、深さを感じる分だけ好みは分かれるだろう

5巻打ち切りだったが、逆に言えばサクッと読める作品に仕上がっている。

七の過去と現代の話など、壮大さでいうとレベルも高い。歴史を絡めた作品ともいうべきか。物語りの謎が多ければ多いほど楽しめる人には、最後まで読み進められる漫画だ

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