妙にリアルな人間模様を描いたSFドラマ『スキエンティア』

ストーリー、ジャンル

タイトルの「スキエンティア」は、科学を象徴した女神を指している。この女神は銅像として出てくるだけで、そこまで深い意味は無い。しかし「科学」は作品内でのキーワードとなっている。SFなので当然だが・・。本作は、科学を使った近未来を描いたSFドラマストーリー

雰囲気的には、世にも奇妙な物語の漫画バージョンと呼んでいいだろう。実際に作中の「ボディレンタル」は世にも奇妙な物語りで放送されており話題になっている。他の作品は使われていない物の、作風的にはやはりドラマっぽくオムニバス形式だ。

薄気味悪い雰囲気はある物の、ホラー的な部分にまでは踏み込んでいないので怖がりな人も安心かと。SFファンには絶大な支持を受けている作品だけに、SF好きで未読ならここは押さえたいところ。

人は「科学の力」で幸せになれるのか

SF系は科学的に空想を描くとはいえ、どうしても話が飛び過ぎる作品が多いと私は思っている。SF作品を見て「さすがにそこまでの話になると現実味が無いな」と感じた経験のある人もいるのではないだろうか。

これこそが、サイエンス・フィクションの難しさでもあるのだけど、逆にいうと現実味を少しでも感じさせられたら作品としては成功していると言える。この作品を私が推すのも、実はこういった現実味を本作からは感じる事ができたからである

登場人物には悩み、苦悩、葛藤がある。そこを科学の力で乗り越えようとする。本当は、科学の力など介在してはならないところに触れて行くわけである。

しかし「何もかもを科学によって動かせるものではない」という事を、科学に頼った人たちが示すという場面が見られるようになる。人の弱ったところに、科学の入り込む余地はあれどそこから抜け出すには科学ではどうにもならない事があると教えられる感覚だ

幸せを追求するには、どうしても自分が最後は力を出す必要がある。他者に頼れない、科学に頼れないというメッセージが作中に込められているようだ。非現実ながら、リアル思考な作品だと思う。「人が生きる」事に対する、作者からのリスペクトを感じた。

こんな人にオススメ

SF好きには当然のごとく推薦する。また、この作品全体を通してみると「愛」「生きる」「死ぬ」という生きる上で欠かせない事が普遍的ではあるモノの、大事にされている事がわかる。今を生きる事に対して希望が持てなかったり、人との繋がりを大事だと思えない人など一読の価値があるだろう

「生きたくても生きられない人」「大切な人を愛せない人」「大切な人を失った人」などが登場するが、彼らの生き方を見ていると、そこには科学の介在する余地のない世界があった。感動というと薄っぺらいが、味のあるSFドラマには間違い無い。

サブコンテンツ

このページの先頭へ