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最終兵器彼女がおすすめの人
- セカイ系・SF系と相性がいい
- 初々しい10代の恋愛模様が好き
- 世界観設定など細かいことは気にしない
「なぜこの女の子はロボットみたいになっているの?なぜ空爆されて戦争が行われているの?え?え?」という疑問を抱いたが。ラストまで読んでも、設定がよくわからない。
それにも関わらず、作品として非常によく出来たクオリティだったことは、純愛がテーマにあったからだろう。そもそも設定なんか要らなくて。ただそこにいる好きな人との恋模様が描かれていればそれでいいのだ。
作者である高橋しん氏の絵。特徴のある絵柄で、儚さを表現するのが上手い。読んでいて気づくが、絵を見ているだけで泣けてくる。「実は言葉すら要らない漫画では」とさえ思ったほどだ。
「最終兵器彼女」のストーリー
©最終兵器彼女 高橋しん
北海道のとある街の高校生、シュウジとちせ。ちせからの告白により交際が始まり、交換日記をするなど初々しい二人。お互いに恋愛経験はなく、徐々に距離を縮めていた。
しかしある日、街は空襲に襲われ、ちせは自衛隊に捕まってしまう。そして最終兵器として選ばれた結果、身体を兵器に改造されることに。
ちせは女子高生として生活しつつも、兵器としての側面も持ち合わせる。変わりゆく世界の中で描かれる、シュウジとちせの恋物語。
兵器化や戦争など設定が明確に表現されないけど問題ない
恋愛漫画なのだけど、主人公の女の子は兵器になっちゃうし、日常に戦争が入っているし。設定を考えると、よく意味がわからないとなるのは仕方がない。
実際に読み進めても、具体的にどうしてこうなっているのかという核の部分は描写されない。あくまで「戦争が起こってしまい、この戦争のために兵器として戦っている」というふんわりした話なのだ。
しかし問題はない。設定を作り込まなかったのはむしろ良いこと。よくわからない世界だからこそ、シュウジとちせが愛し合っていることが伝わってくる。
あれこれ設定まで書いてしまうと、基本的にこの漫画はダメになっていたと思う。ただ二人の男女が幸せになりたいだけなのに、そこに障害(兵器化・戦争)があるという雰囲気が重要。
設定にうるさい人でも、本作は気にならなくなる。実際、説明臭くならない表現手法として感情重視になるよう意図して描いていたようだ。
回を重ねるごとに迫ってくる関係性の崩壊
最終兵器彼女、ちせが1番崩壊させるのは涙腺なのでは…
— mako (@187822840) December 14, 2017
ちせは戦争に駆り出される形なのだけど、徐々に無理をしている描写が増えていく。兵器化しているとは言え、無敵の女子高生というわけでもなく。
ダメージを受ければ修復が必要だし、それによってシュウジとの関係性にも支障は出てくる。高校生カップルらしく「お互いこのまま一生いようね」なんて言えない空気感に変わっていくことがつらい。
婚活中のアラサー男女ならともかく、高校生カップルなら関係破綻なんて普通にありえる話だけど。兵器として死んでいく切迫感や、世界の終末感で崩壊していくことに泣けてくる。
回を重ねるほど、二人が苦しむことに泣きそう。ラストはハッピーなのか。バッドなのか。それとも・・。ぜひその目で確認してみるべき作品。