アウトカウント1つに付き報酬500万!?『ONE OUTS』のルールが斬新

ストーリー、ジャンル

プロ野球選手として活躍していた児島弘道は、実力がありながらも一度も優勝をしたことがない不運の天才打者。優勝に必要な何かを探すためシーズンオフに沖縄で自主トレーニングに励んでいた。そんな中で児島は賭博野球「ONE OUTS」に出会う。

「ワンナウト」のルールは至って単純で、文字通りピッチャーがバッターからアウトを取れるかどうかのゲーム。バッターが三振やインフィールドにバウンドさせる事で勝ち負けが決まるというモノ。

児島は、このゲームで無敗を誇る主人公ピッチャー・渡久地東亜と出会う。東亜は児島にスカウトされプロの世界に行くも、契約の内容に「アウト1つに付きプラス500万、逆に1失点につきマイナス5000万」と自ら提示。球団側は、まんまと儲けたと契約を済ますがここから東亜が猛威を振るう事になる。

「投手が損する仕組み」それが1アウト契約。

実際にプロの世界で、東亜のような契約をしたらどうなるのか。本作が世に出されていた1998年の話では、横浜の佐々木主浩ただ1人が自身の年俸を超える事ができたという結果だったそうだ。

当時の佐々木の防御率0.64を知っている人なら、「9回に佐々木が出てきたら終わり」という記憶は強烈に焼き付いているだろう。それくらい凄い選手でないと儲からない仕組み、それが「ワンナウト契約」だ。

ただ野球をやっていれば間違い無く打たれる事を知っている東亜は、自分のボールだけで勝負する事はしない。いかに巧妙な策を作り、相手をハメて打ち取るかを考えている。序盤は、ピッチャーやバッター心理を考えながら勝負展開を動かしているが、正直これだとパターン化してしまう。

しかしそうはならない。4巻の話だが、東亜がオーナーから3連投を課せられる頃には「野球のルール」を存分に使いながらアウトを稼ごうとする秘策が凄い。プロ野球選手でも知らないような「プロ野球規約」が出てくるので、読んでいるだけでも勉強になる。

作者の甲斐谷氏の考え抜かれた頭脳戦には頭が下がるばかり。読者の予想、裏をかくストーリーは熱い。ただし、この作品は「野球を知っていて初めて楽しめる」という前提にあると言える。東亜が、野球ルールを上手く手のひらで転がすシーンが本作の見どころなので野球ルール初心者だけは気をつけておくといい。

こんな人にオススメ

ハードな野球ファンは見ておくといい。「マンガで学べる野球規約」とも呼べる本作は、本当の野球マニアをも唸らせるストーリーになっている。「自分は野球に詳しい」と思っている人ほど、クイズ感覚でも読めるだろう。

また、作中で契約金額のレートに変動が出たりする事もあるため、ギャンブル好きな人にも向いている。頭脳や心理を巧みに働かせる事でテンションが上がる人なども含めて、しっかり読む事で駆け引きの面白さにハマる事は間違いない。ギャンブラーたちの脳みそをフル回転させる至高作ここにあり。

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