菊川玲二みたいなヤクザがいてもいいんじゃない?『土竜の唄』

ストーリー、ジャンル

主人公は交番に勤務する巡査警官・菊川玲二。彼は日本一のヤクザである「数寄矢会」のドンである轟周宝を検挙するため、潜入捜査を命じられる。ちなみにタイトルの土竜(モグラ)はこの潜入捜査官を指している。

玲二はヤクザとなって数々のミッションをこなしていき、次から次へと昇格。日々の積み重ねを経てドンに近づけるよう奮闘する。時には修羅場を経験するが、玲二の強さは追い込まれるほど発揮される。

作品のジャンルは極道モノであるが、スリリングな戦闘アクションからギャグ要素まで幅広く取り込まれている。男性には嬉しいお色気シーンも多く、読みごたえは十分に感じられる作品。

リアリティ追求者も唸る面白さ

極道モノである本作の肝心な中身は、リアル追求路線では無い事だけ先に言っておこう。「そんな事は普通に考えてありえないw」という展開は多く見られる。エンターテイメント風と言うべきか、ギャグ漫画と言うべきか。もちろん登場するヤクザは本当にヤバいので命をかけたやり取りがされているのだけど。

人間の身体能力ではどう考えても動けない動きが出たり、明らかに命に直結する傷を負いながらも病院に行かないままストーリーが進行したり。リアリティを求める人には少し合わないかもしれない。しかしそれを込みで考えても面白いというのが率直な感想だ。実際にリアリティを追求する私も面白いと思い読み続けている

悪ふざけの延長に見えて、考え込まれた玲二の奇策は関心させられる。ピンチになればなるほど頭が働き、逆境を乗り越えて行く姿はまさにモグラ警官。いくら潜入捜査といえど、警察官としてヤクザに手を貸す必要がある場面は節度を守っていく玲二の要領の良さは素晴らしいのひと言。

そして登場キャラも魅力的な存在ばかり。ヤクザという反社会的な活動をしている人間たちであるとは分かっていても、男気を見せる奴らは見ていて憧れてしまいそうになるほどだ。

クレイジーパピヨンの異名を持つ日浦匡也などは、信念を掲げてヤクザ道を歩んでいる。「クスリは絶対許さねえ」など、いくら悪い事をしていてもこれだけは手を出すなと言うメッセージを玲二に託したりと熱い男ぶりが見事。

そしてオマケ要素と捉えて良いのか、本筋と捉えて良いのか。かなりの頻度でエロ描写が使われている。元々が絵の上手い作者なので、セクシーな女性キャラは男性読者の心を揺さぶるだろう

仲間を大切にする義理人情にあこがれる

読んでいると「ヤクザの世界もいいなぁ」とウッカリ思わされる場面も。感情移入なのだけど、やってる事はどうであれ同じ人間として魅力を放つ奴らも多い。義理ではあるけれど、親子関係や兄弟などの言葉が出てくる。王道の任侠漫画といえる。

どう考えても他人なのに、約束や契りが重要視されるのはヤクザならではの展開。そんな空気の中にいると、玲二もいつのまにか気分がヤクザ寄りになっていたりするようだ。実際に仲間がやられて怒る玲二が作中で見られる。

あまり影響を受けるのもどうかと思うが、仲間を大切にするという場面は美しい。私はあまり仲間を大切にする生き方をしていなかったもので、学ぶところがあった作品。

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