漫画界ナンバー1の根性と底力がここに!『みどりのマキバオー』

ストーリー、ジャンル

北海道にある”みどり牧場”に生まれた小さな珍獣ミドリマキバオー。そんな彼は競走馬として走るために生まれてきたサラブレッドだが、見た目はロバのような風貌をしていた為に騒ぎになる。

そんな最中、マキバオーの母であるミドリコは借金の肩代わりに別の牧場に売られてしまう。母親に会いたい一心のマキバオーは母親を探す為に牧場から脱出する。

母親探しの道中は、野犬に襲われるなど苦難の連続だったが、後に親分となるネズミのチュウ兵衛と出会う。チュウ兵衛と共に、ミドリコの元に向かうも子を思う母親としてマキバオーを突き離す。サラブレッドとしてマキバオーはどうなるのか。

馬と人間が普通に話せる設定のため、競馬漫画として読もうとする人は躊躇するかもしれない。しかし、このマキバオーという作品は回を増すごとにシリアスなシーンや本気の勝負が見られるようになる。カスケードを筆頭としたライバル馬たちとの熱いレースは、本格派の競馬漫画と呼んで申し分ない

勝ち負けを越えてインパクトを残す名馬「ミドリマキバオー」

実際に競馬を見ている人からすれば、つの丸氏の描くマキバオーには違和感を抱くだろう。まるでロバのようなマキバオーの体型は確かに馬ではない。また、人間の言葉を話せる馬の存在もまたリアルとはかけ離れている。

しかし、それだけで本作の評価を落としてしまうのは本当に勿体ない。非常に勿体ない。

マキバオーは、実際の競走馬となんら変哲もない存在なのだ。これだけ珍獣とした描写でリアルから切り離されているマキバオーだが中身は本物の競走馬だ。

競馬漫画でありがちな「主役はきっちり勝つ」というセオリーが見事に打ち砕かれる事もしばしばあるマキバオー。勝ちも負けも”魅せる”マキバオーの存在は、競馬好きの心を離さないだろう

ギャグからスタートした作品とは思えないほど、レースになると変わってしまうのもマキバオーの面白さ。馬券を買っているかのような感覚で、スタートからゴールまで固唾を飲んで見守りたくなる熱い物語りだ。馬同士の駆け引きや、直線の攻防など白熱した展開がリアル競馬も顔負けするほどのパワーを持っている。

マキバオーVSライバル馬たちの背負った”宿命”

主役のマキバオー好きな私だが、ライバル馬たちも大好きである。この好きなライバルだけでも延々と紹介したくなるほど魅力あふれるメンバーが揃っている。その理由となるのが、ライバル馬たちの背負った”宿命”だ。ただ「勝ちたい」「負けたくない」の世界で戦うだけじゃない。生い立ちや、環境によって”走る理由”が彼らには存在する。

生まれて初めて目にしたのは母親の亡骸だったカスケードは感情を捨てレースに挑む。故障した兄の意思を受け継ぎ、三冠馬の夢に向かうアマゴワクチン。中央競馬の下に見られたくない”地方出身”のサトミアマゾンなどいくらでも名馬が登場する。彼らは各々の事情と戦っていると言っても過言ではない。

「宿命」の元に火花を散らした彼らは、私の記憶に熱く残っている。そして気がつけば「ギャグ漫画」は王道の競馬マンガと呼べる作品に変わっていた。また、マキバオーにも、母ミドリコとの別れとは別の過酷な運命が待ち受けている。これについては、ネタばれサイトなどを調べず直に読んで衝撃に打たれるべきだろう。

こんな人にオススメ

少年ジャンプで連載されていただけあって、競馬素人でも楽しめる作風となっている。私自身、全く競馬に関心がなかったのに中学校の頃に読んで見事にハマった。

ただ残念なのは、マキバオーは連載打ち切りで終了した事だ。つの丸氏が見事に描き切っているため、作品としてはラストも何ら問題ないが寂しかったのを覚えている。大人になっても何度か読み返しているが、私個人の感想としては青年誌で連載されていれば違った結果もあったのではないかと思ってしまう。子供と競馬を繋ぐのは難しいものだ。

実際の競馬ファンも楽しめる作品なので、「マキバオーを知らない」という方は試しに読まれてみる事をお勧めしたい。

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