映画マニアで人を信じないクセ有りヒロインだけど『ケンガイ』は本格派の恋愛漫画だ!

ストーリー、ジャンル

就活をドロップアウトした主人公・伊賀がバイトで入ったレンタルビデオ店の先輩でヒロインの白川五十鈴に恋をする。しかし、他のバイトの先輩たちに取って白川やその友人の小島は変わり物扱いされており「圏外の人」と陰で呼ばれていた。

見た目も悪く無く、サバサバしている白川たちはそんな周りの状況を気にしないが、伊賀はそんな白川の態度も許せないまっすぐさを持っている。本作は伊賀と白川の関係を追いかけるラブストーリー。

確かに白川は「変わりもの」という印象だが「映画に対してマニアック」という誰でもが持っている偏りがあるだけ。そんな一直線な白川に魅力を感じる伊賀や、それらを変わり者扱いして見下すヒエラルキーの存在した職場の空気感は実社会を映し出している

本格派の「恋愛モノ」だが、作中から見える社会の構造は非常に関心を引く内容。

女性というか、人として好きになる「白川五十鈴」というヒト

3巻で完結してしまうのだけど、仕方が無いという感じはする。伊賀が映画マニアの白川に恋をして、なかなか受けてもらえない想いが作中では描かれるのだけど、それもダラダラ引っ張れば読者が飽きるのは想像に容易い。だからこそ、短期決着したのではないだろうか。読みやすく絵も綺麗であり名作に入る

堂々と白川に向き合っていく伊賀と、ヒロインとして映画マニアとしてクセのある女性を貫く白川という組み合わせは面白い。

私は白川みたいなタイプの人間が好きだ。女性としてはどうかと思うが、人として見た場合に思うのは「貫く物を持っている」という意味で尊敬する。見下している職場連中には反発すべきと思ったが、あえて騒ぎ出す必要性が無い事もわかっている点など実社会での大人の生き方だ。

しかし、それに対して伊賀は怒る。といっても、白川という女性が好きだからこそ見下す奴が許せない。誰でもそうだけど、人に限らず自分の好きな物を貶されたり馬鹿にされたら気持ちは良くない。そういう意味で、伊賀は彼女に対して真剣に向き合って素晴らしかった。

それにしても伊賀を華麗にスルーしていく白川という生き方もすごいなと。何度もアタックしてくる男を受け入れないようで、突き離すまではしない。クールに「恋愛は不要感」を匂わせながらも、どこか嬉しいという気持ちがあるんじゃないだろうか。

絶妙なまでの伊賀と白川の距離感に対して、小島が間に入ってプッシュするんだけど小島も良い人なんだよね。ちょっと下品だけど、友達想いな白川と小島という関係も見ていて楽しかった。ラストは伊賀が白川の「圏内」か「圏外」のどちらになるかをお楽しみに

「映画好き」な彼女が欲しい人向け

この作品を語る上で欠かせないのが、作中で映画が語られている事。私は映画に疎い方なので、読んでいて「何を言っているのかわからない」という場面もあった。ストーリー上は映画を知らなくていいのだけど、知っている人の場合はなお楽しめるポイントになるかと。彼女と映画を見る事が好きな人とか、ストライクなんじゃないかな

あとは、白川が徹底して「圏外」に居てしまう事の理由。深くは書かれて無いけど、白川が今の状態にあるのは過去が関係している理由もある。家族や友達の事なども伏線になるけど、微妙に読者の想像に任せる方向にしているのもニュアンス的にぼかしていて面白い表現だ

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