純粋無垢な少女たちにとっての幸せは何だろう?『ハピネス』

ストーリー、ジャンル

古屋兎丸氏の連作短編集。各話それぞれにストーリーがある。どれも「純粋な少女」が出ているのが一つの特徴だ。若い少女たちの「幸せ」と「不幸」の表裏を垣間見れる。

恋愛をこじらせる子、騙される子、悪魔と繋がりを持つ子、ありふれた日常に潜む子など独特の世界観を古屋氏が描いている。ごく在り来たりな世界観にならないところが本作の魅力。オムニバス形式で描かれているため読みやすい。

私の好きな作品タイトルとひと言感想

若気の至りか、それとも中二病か。とにかく登場する女子が痛い。痛くて可哀そうで「誰か何とかしてやれよ」と思ってしまう。しかし私が勝手にそう思っているだけで、彼女らは可哀そうと決まったわけではない。共感したり、幸せに見えたり、様々な角度から読み手は受け止める事になる

絵柄も見やすい。新規で古屋氏の作品に手をつけた人でも違和感を持つ事はないだろう。クセの無い絵というと言い方が変かもしれないが、ストーリーに集中できるタッチで描かれている。

第1話・嬲られ踏まれ そして咲くのは激情の花

男性教師と女子生徒の不倫という話なのだけど、この作品はラストに取った彼女の行動が後に残る。どういう意味かはネタばれになるので言えないが実際に読んでみるとわかる。

好き、愛するという感情を抑えられない彼女のぶっ飛んだ行動はどう見れば良いのか。共感する人、単純にエロいと考えてしまう人も出てくるだろう。

しかしこの男子教師はズルい。10代の子供が人を好きになってしまえば、そこにはリスクがあろうとなかろうと相手に対してストレートになるしか無いわけである。変化球を投げられないまっすぐな少女の球はガッツリ受け止めてやらないと可哀そうだと思った。

第6話・雲のへや

主人公の山ちゃんという子は、中身が良い子で頭はちょっぴり悪い子。一人称を徹底して「あーし」にしているところで、この子がどういった子かを予感させたのは良い。馬鹿っぽいとか、アホの子とかそういう言葉では呼びたくない彼女の結末が好きだ。

雲を天井に描いていた彼女の姿は本作における名シーンだと思っている。好きな物、好きな事を一生懸命にやり切れてしまうのは若者の良いところだ。そういう風に思い出したら私もオッサンかな・・。

第8話・アングラ★ドール

地下アイドルを描いており、ファンとの繋がりを大切にしている立派な少女だった。アイドル職というのは、裏側は真っ黒というイメージが昔に比べて伝えられているけれど、それでも彼女たちのピュアをファンは信じたい。信じたいし、信じられる存在がアイドルなのだと考えさせられた

このオタク男性も思いきった事をしているけれど、結末を見ると温かい気持ちにさせられ良かったのひと言。

こんな人にオススメ

少しの芸術性を絡めたエロスが入っているので、これらを求めたい人は楽しめるかと。ちなみに女子の裸体で興奮させる絵なら「エロ」止まりだけど、そう思わせないから「エロス」と表現している

また内容がわかりにくいと思いながら読んだのは「悪魔の話」だけ。実質ほとんど楽しめるプロットだ。オススメは上記に記した3話で、もしランキングをするなら1位は山ちゃんの出てくる6話。

古屋氏は、若い女子たちを描くのが本当に上手い。色んな女の子が登場するけれど、青春時代の彼女らの尖りを的確に見ているのではないだろうか。

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