虐待現場の悲惨なリアルを漫画で知るべき『ちいさいひと』

ストーリー、ジャンル

主人公の相川健太は駆け出しの児童福祉司。虐待を受けているであろう児童の救済をするとともに、相川自身も虐待を受けた過去を持っている”サバイバー”の過去を語る。ストーリーの中で相川の幼少期がフラッシュバックするシーンも取り入れながら虐待問題に向き合っていく作品。職場の仲間とのやり取りなどリアルな仕上がりを見せている。

児童虐待」は社会問題のテーマでもあるため、漫画という枠に当てはめずに読んでみる事をオススメしたい。テレビやドラマとは違ったリアルが伝わって来るかと思う。「子供たちが安心して生きられる社会」をどうすれば作り上げて行けるのかを考えさせられる作品。

「身近で起こっているかもしれない」と意識する大切さ

読んでいて気がつくのは、ある程度のラインまで子供が追い込まれてやっと助けが入るという点だ。これは実社会の問題とも直で繋がっている話だが、問題が起こってやっと行政の手が入るという事は珍しい話では無い。

むしろ、事件が起こってから「早く気がついてあげられれば・・」といったコメントをニュースで聞く事も多いのではないだろうか。もちろん、報道されるような事件が起こる前に救出されている子も多くいる話を前提にするが。

虐待関係の事件を見ていて思うのは、「人との繋がりが疎遠になっている場所」で発生しているという事。エピソード1の話を出すと、幼い女の子がフラフラ状態で赤ん坊の妹の面倒を見ている。これらの姉妹は人と繋がる接点は全くない。母親がたまにやってきて、適当な食事を渡すくらいの接点だけなのである。

幼児虐待に関わらず、介護などにも通じるものがあるが弱者が外と繋がるためのパイプを、強制的に身近にいる親族に断ち切られている場面は多々ある。このケースだと母親がひたすら隠してしまいどうにもならなくなっているのだ。

ありきたりな話ではあるが、昔のようなご近所付き合いが減っている今、虐待が疑われる家庭に対しては行政が積極的に介入できる権限を持てるよう制度を変える必要があるのではないだろうか。

離婚・再婚家庭に誤解の無いようにだけ読んでもらいたい作品

「誤解が生まれては困る」と思ったのは、登場するケースに多々「離婚家庭」「再婚家庭」などが使われているという事。今回紹介したエピソード1の母親は、男遊びに意識が取られてしまっている。男遊びそのものは問題ないのだけど、子供が瀕死の状態に追いやられている場面になっても目を逸らすのはいけない。

イメージ的に「離婚したあと、別の家庭ができて子供がおろそかに・・」というストーリーは想像しやすいが、偏った意識にならないように読むべきだろう。新しい男も、「血の繋がりの無い子供」として基本的に眼中にないのかもしれないが、そこにある命にだけは注意をしてもらいたいと感想を持った。

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