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ちひろさんがおすすめの人
- 人生に悩んだり生きづらさを抱えている人
- セリフよりも絵や雰囲気で伝わる作品を探している
- 心が安らぐほっこりした人間味のあるキャラが好き
このレベルの作品でもマイナー漫画の枠から出られないの?そう言いたくなるほど本作は面白く、主人公・ちひろの魅力はさん然と輝いている。
何がすごいって。現代を生きる中で、生きづらさを抱えていたり、迷っている人を救っていることなんだよね。私の中ではもはや経典レベルで、ちひろを崇拝してしまった(笑)
本作は元風俗嬢のちひろが、弁当屋で働く中で知り合った人々との日常を描いているのだけど。ちひろという一人の女性の持つ感性、価値観、生き様が素晴らしい。
「ちひろさん」のストーリー
©ちひろさん 秋田書店
元風俗嬢・ちひろは弁当屋で働くことに。そんな弁当屋にやってくる客は、色んな悩みや問題を抱えている。本作は、これら迷える客とちひろの関わりを描いている。
恋愛や仕事から、家族問題など様々な出来事に向き合うちひろ。1話完結でテンポよく読めるが、全体を通して人との繋がりを楽しむドラマ作品。
ちひろの感性や価値観の言語化が素晴らしい
眠れなくて深夜に読んでいた。
「ちひろさん」安田弘之さん
これは自分の追い求めているもの、人生の指南書、人にプレゼントしたい漫画、ガチガチの枠を取っ払ってくれるもの、など色んな思いがある漫画です。心がとてもじんわりする。 pic.twitter.com/u7aphwoLHX— いろとりどり (@S7BCKhuMqXa8TTZ) May 4, 2020
ちひろは、若くして達観した目で世を見ている。風俗で働いていたことや、彼女の生い立ちなどが影響しているであろうことが伺える。
彼女の感性は研ぎ澄まされており、悩める人々にとっては「これぞ」という救いの手が差し出される。この救いの手が、彼女の言葉なのだ。
とあるシーンだが、悪意を持って嫌なことを言ってくる人間への対応にグサリと来た。「この人は私に傷ついて欲しいだけ。だったら私は傷ついてやらない。かすり傷ひとつつけさせない」というセリフ。
決して傷ついていないわけではないと思うが、「心の持ち方ひとつで対抗できる」という彼女なりの考え方。ありふれた事を言っているようだが、ちひろの口から放たせることで新鮮に変わる素晴らしさ。
私はあまり「カッコいい女性」という表現を使わないのだけど、ちひろに関してはカッコいいなと本気で思う。
他者と比べて生きづらさを抱える人への指標
スマホで気軽にSNSを見る時代。全く興味がなくても、どんどん他者の情報が入ってくることに疲れたことはないだろうか?
私の場合だと、良い会社で働いていたり、高価な物を食べていたり。素敵な家に住んでいたり。自分よりもいい暮らしをしてるなと、そういうことを想像するだけでしんどい(苦笑)
つまり、他人と比べて勝手に負けて疲弊しているのだ。しかし、ちひろは違う。自分に絶対的な自信を持っているし、だからこそ自分の価値観、自分ベースで生きる。
このような姿は、当たり前のことなのだけどなかなか難しい。ちひろに諭されて、ちひろの言葉で訴えかけられて冷静になれる自分がいた。
もしも生きづらさを感じるなら、「ちひろならこんな時、なんて考えるだろうか」と置き換えてみて欲しい。漫画のキャラなのに、ここまで人生の指標にできる人物なんてそういない。
登場人物たちの表裏で人間味を演出
ちひろを崇め奉るレビューになっているが、彼女だけがすごいのではない。作中に出てくる人物たちもまた素晴らしい。
「人間味」と言えばいいだろうか。通常の漫画だと、登場人物はあくまでキャラなのだ。そこにリアルと漫画の壁はあるし、別に読者も分かっていることなので文句はない。
ただ、本作は人間の表と裏を同時に描く。一例として、自転車をパンクさせる悪ガキが出てくる。客観的には悪いガキンチョなのだけど、この子の背景を描くことで表裏が生まれる。
この表裏を細かく描いており、繊細につなぎ合わせていて。あまりセリフや説明を入れず、読者に感じてもらう作風なのも影響しているだろう。演出で人間味を作る作者の技がすごい。
多種多様な人が出てくるが、どの人物にも血が通っており、そこには漫画キャラというより、「普通にいる人」という目で見ちゃうんだよなと。リアリティ有り過ぎて言葉を失うほど。
人間ドラマを描く漫画で、ここまでハイレベルな作品はなかなかお目にかかれない。読めば読むほど、「ちひろ」という女性を知りたくなる名作。さらに前作「ちひろ」から読む方がより深さを楽しめる。
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「ちひろ」風俗嬢の漫画というより人生における哲学書だった
出典:Amazon 総合評価 A (めちゃくちゃ面白い) ちひろがおすすめの人 風俗嬢の物語が読みたい 人間の生き様を描いた作品が好き 仕事や人生に自信を持てない人 何きっかけだっただろうか。何気なく ...
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